スパイラルコンベアとは
スパイラルコンベアとは、円形にカーブを描いた形状を持つコンベア (運搬装置) のことです。
通常のベルトコンベアと比較して空間を有効に利用し、床面積を節約することができます。上方向または下方向に運搬することができるため、空間の制約がある場合も限られたスペースで大量の荷物を運ぶことが可能です。小さなパッケージから大型の製品までさまざまな種類の荷物を運搬することができるため、幅広い用途に利用されています。
スパイラルコンベアの使用用途
スパイラルコンベアは物流や食品加工業界において多くの用途で使用されます。
1. 物流
物流においては、自動倉庫などで使用されます。空間効率が高く、多種多様な商品を高速に運搬することが可能です。スパイラルコンベアを備えた自動倉庫では、注文が入ると自動的に荷物をピックアップして出荷準備をする場合もあります。
また物流センターなどで使用することもあります。大量の商品を受け取り、仕分けすることが可能です。スペースを有効活用できるため、都会や地価が高い場所にも最適です。
2. 食品加工ライン
食品加工ラインでは様々な食品を運搬することができます。真空パックされた食品やペットボトルに入った飲料水などがその一例です。食品の種類や形状に合わせて設計することが可能です。
スパイラルコンベアの原理
スパイラルコンベアのベルトは樹脂、又はステンレスによって作られているものが主です。
長方形の樹脂、またはステンレスが蛇腹状に連結しているスラットの構造になっています。ゴムベルトコンベアに使用されるような柔らかい素材のベルトと比べると感触は硬いです。
コンベアの両端には左右一組のガイドレールが備わっており、製品の落下を防止します。左右のガイドレールの間にはチェーンが垂直方向に等間隔で敷設されており、チェーンの上にベルトが取り付けられることでコンベアの形状を保っています。駆動モーターがチェーンに回転を伝えることでベルトを駆動させるのは通常のコンベアと同様です。
スパイラルコンベアに使用されるチェーンはカーブチェーンと呼ばれ、横方向に大きく曲がる性質を持っています。コンベアがらせんの形を保つことが出来るのはそのためです。カーブチェーンの上にスラット構造体が敷かれており、その上に製品を乗せて搬送します。
加熱殺菌、冷却機能の付いている製品はコンベアの周囲が断熱パネルで覆われます。パネルで覆われた室内に蒸気や冷風を当てることでベルトの上に乗っている製品を加熱、冷却することが出来ます。
スパイラルコンベアの種類
スパイラルコンベアにはドラム主軸式やドラムレス式などの種類があり、レイアウトによって使い分けることが可能です。加熱殺菌や冷却機能などの機能を付け加えた製品も販売されています。
1. ドラム主軸式
ドラム主軸式はスパイラルコンベアの中心軸にドラムと呼ばれる回転軸を持つタイプです。高い運搬能力を持ち、大型の荷物を効率的に運搬することができます。また、メンテナンスが比較的容易で、運転中に発生する振動や騒音も少ない点が特徴です。
2. ドラムレス式
ドラムレス式は中心軸にドラムを必要とせず、軸に接続されたスプロケットがコンベアの運転を制御するタイプです。ドラム主軸式に比べてコンパクトであり、スペースの制限がある場所でも運用することができます。また、スプロケットの回転数を制御することで、スパイラルコンベアの速度を容易に調整することができます。
冷却機能を持つスパイラルコンベアのことをスパイラルフリーザと呼び、加熱殺菌機能を持つものをスチーマー仕様などと呼びます。食品製造業では欠かすことの出来ない機能であり、HACCPの基準に沿った食中毒防止措置を取ることが可能です。また、CIP自動洗浄機能を搭載している製品は庫内パーツを簡単に洗浄できるため、食中毒菌の繁殖を抑えなければならない食品工場では広く使用されます。
参考文献
http://www.yoneda-kohki-group.co.jp/reinestu.asp?page=Sdr
http://www.iss-kanazawa.com/spiralsteam.html