旋回ベアリング

旋回ベアリングとは

旋回ベアリングとは、建設・土木機械の稼働部で特に旋回動作する部分に用いられるベアリングです。

単列の玉軸受の標準的な形をしており、比較的容易に取り扱いができるため、幅広く利用されています。旋回ベアリングは、モーメントなどの荷重について、単体の荷重や合成荷重などを1つで同時に支えることができる構造をしています。

なお、モーメントとは、ベアリングに垂直にかかるスラスト、ベアリングに水平にかかるラジアル、ベアリング軸の中心とスラスト・ラジアル荷重の各作用点との距離をそれぞれの荷重に積算した荷重の合計を指します。

旋回ベアリングは負荷容量の高さが、大きな特徴です。旋回ベアリングを用いることによって、旋回動作の摩擦を低く抑えられ、実用できる耐用年数を長くできます。

旋回ベアリングの使用用途

旋回ベアリングは複合荷重を支え、大きな荷重を支えることができることから、大型の機械の旋回部分の軸受として幅広く利用されています。

具体的な使用例は、以下の通りです。

1. 建設・土木機械

  • 油圧ショベル
  • アタッチメント
  • クレーン
  • アースオーガー
  • 小型掘進機
  • 高所作業車
  • テーブルリフター
  • 特殊車両

2. 設備機械

  • 風力発電機
  • 駐車場ターンテーブル
  • 自動車等検査台
  • マルハン機器
  • 計量装置
  • 食品関係回転装置
  • 鉄鋼関係設備
  • 汚泥掻き寄せ機
  • 伸線巻取り機
  • ウインチ
  • 遊戯器
  • ゴミ収納用回転ドラム
  • 回転舞台装置

3. 精密機械

  • 設備用産業ロボット
  • 半導体製造用研磨機
  • 液晶関係研磨機
  • 射出成形機
  • 割出し台
  • 医療機器
  • レーダー

旋回ベアリングの原理

旋回ベアリングの内部構造は、一般的な玉軸受と同じです。内輪と外輪の軌道面の円弧があり、その内部に玉が一列で均一に配置されています。

このため、玉の径が大きい物でも使用が可能で構造上小型でも負荷できる荷重が大きい設計にすることができます。内輪か外輪に歯車を直接加工して取り付けることで、駆動旋回が可能になり、旋回部分をシンプルかつ軽量化が実現されます。

ただし、ベアリングの転動体である玉の大きさによって、支えられるスラスト荷重の大きさが変わります。負荷する必要がある荷重の大きさに対して十分な玉の径を計算し、大きさを決定しなければなりません。

旋回ベアリングのその他情報

1. 旋回ベアリングの建設機械への適用

旋回ベアリングは、建設機械に多く使用されています。パワーショベルやクレーンなど重量がある構造物でも、スムーズに旋回操作できるのは旋回ベアリングのおかげです。住宅街で使用されている小型のクレーン車でも同様です。

旋回ベアリングは、上部旋回体と下部構造体の間に大量のボルトで締結されています。メンテナンスとしては、旋回ベアリングへの定期的なグリスアップが必要で、グリスが枯渇すると旋回ベアリング部分から異音が発生したり、旋回時に摺動不良となって微細な操作ができなくなったりします。

旋回時の抵抗は機械全体のねじれが発生する原因となるので、定期的なグリスアップは不可欠です。グリスアップ以外のメンテナンスとして、建設機械の旋回ベアリング締結ボルトには作業時に大きな力がかかるため、締結ボルトにゆるみや伸びが発生していないかを点検します。

旋回ベアリングの締結ボルトがゆるんだり伸びたまま使用を続けていると、最悪の場合、締結ボルトの破断や旋回ベアリングが破断して重大な事故が発生する恐れがあります。未然に防ぐためにも定期的なボルト点検を行うことが大切です。

2. 旋回ベアリングの修理

旋回ベアリングの修理はサイズや使用部位にもよりますが、多くの時間と多額の修理費用が発生する場合がほとんどです。重量のある建設機械であった場合、上部旋回体と下部構造体の間に旋回ベアリングがあるため、天井クレーンなどを使用して上部旋回体を取り外します。

この作業に時間がかかる上、製品に対して熟練した知識と技術を持つ作業者が必要です。旋回ベアリングはきちんとした製品の取り扱いとメンテナンスによって、故障を防止することができます。

参考文献
https://www.skf.com/jp/products/slewing-bearings
http://www.senshu-bearing.com/
https://www.tadano.co.jp/service/upload/docs/TSV10030.pdf

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