樹脂スペーサ

樹脂スペーサとは樹脂スペーサ

樹脂スペーサとは、ある2つの物の間に発生する隙間を埋めるための材料です。

その中でも樹脂を用いているスペーサを樹脂スペーサと呼びます。

樹脂スペーサの使用用途

樹脂スペーサは、電子材料分野において導通させたくない基板や材料、回路の重ね合わせ時によく用いられます。高い機械強度や耐薬品性があり、電気的絶縁性を有しているのが特徴です。

電子材料を製造する企業や大学などの研究機関においても、さまざまな場面で樹脂スペーサは用いられています。樹脂スペーサを使わない場合、ほとんどの電子デバイスの構築は不可能と言っても過言ではありません。

また、建築業界などではコンクリートを流す際のスペーサとしても用いられ、樹脂の弾性や非接着性を利用することにより、コンクリートの硬化時に発生するヒビ割れや他材料との接着を防止することができます。

樹脂スペーサの原理

樹脂スペーサは、何らかの部品をネジなどで固定する際、部品同士の間隔を空けるために挟み込んだり、何らかの材料が歪まないように空間を埋めたりする場合などに使用されます。樹脂の素材により機械的強度や耐摩耗性、硬度、耐薬品性などが異なり、性能や価格は多種多様です。

また、多くの樹脂は導電性がないため、樹脂スペーサは電気を絶縁したい場合などに使用されるのを得意とします。

樹脂スペーサの種類

樹脂スペーサの素材は多種に渡ります。代表的な種類は以下の通りです。

1. ポリアセタール

代表的な樹脂スペーサ材料の1つであり、乳白色や黒色、青色などカラーバリエーションが豊富です。プリント配線板などにおける絶縁保持目的などにも使用され、機械的な強度や耐薬品性に対しても優れています。

価格も比較的安価な傾向であり、材料としての安定性も高いため、様々な業界で汎用的に使用される材料の1つです。ただし、耐熱性は低い傾向があります。

2. ナイロン

白、黒、青などのカラーバリエーションが豊富であり、耐熱性が比較的高い樹脂です。靭性などの機械的強度が非常に高い反面、表面硬度は低い傾向があります。

また、吸水率は比較的高めです。価格は汎用樹脂と比較して高いですが、その分さまざまな場面で特性を発揮します。

3. ベーク

オレンジ色、茶色または黒色があり、フェノールを原料とした材料です。絶縁性、耐熱性に優れており、発電所向けから家庭用まで絶縁スペーサとして主力を担う樹脂材料です。

価格も比較的安価であり、表面硬度が高い一方、傷つきやすい一面もあるため、取り扱いの際は表面を擦ったりしてかすり傷がつかないよう、クッション材を敷いて取り扱うこともあります。

4. フッ素樹脂

白色、半透明、黒色などのカラーバリエーションがあり、絶縁性に加え耐薬品性が優れています。PEEKと呼ばれる材料もフッ素樹脂の1つであり、全ての樹脂材料の中でもトップクラスの性能を誇ります。一般的な樹脂とは異なり、低極性であることから他材料との接着性は非常に低く、表面の摩擦係数も非常に低いです。

また、性能が非常に高い分、価格も非常に高価です。汎用的に使用していくとコストが全く見合わないのがほとんどであるため、フッ素樹脂にしか対応できない部分のみで使用される場合が多い材料です。

5. ガラスエポキシ

エポキシ樹脂をガラスクロスで補強した材料であり、主に電子材料分野で使用されます。エポキシだけでは機械的な強度を満足することができないため、ガラスの強度を利用した有機無機複合材料です。古くから確立されていた技術であることから量産もされていて価格も安く、ほとんどの電子基板はガラスエポキシを用いて製造されています。

ガラスによって補強されている分、切断や穴あけなどの加工には相応の強力な機械が必要となるため、多くの加工を予定する際は他の加工道具の調達は必須です。

 

この他にも、ポリカーボネートやポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、シリコン樹脂等といった材料なども多種多様に存在し、2種類以上の材料を混ぜ合わせて使用される場合もあります。絶縁が必要な分野のみならず、材料の特性を発揮できる分野において、樹脂スペーサは様々な用途、目的で使用されています。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/pdf/fa/2018/p2_173.pdf

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