カーブコンベアとは
カーブコンベア (英: Curve conveyor) とは、物品の搬送方向の転換が必要となる箇所で物品を移動させる装置のことです。
物品を頻繁に移動させる分野で主に用いられています。効率よく物品の方向転換や分岐を行うことで、物品の運搬作業の省力化に寄与します。
カーブコンベアには、カーブ専用に設計されているローラーやベルトを用いたものがあり、JIS B 0140に規定されています。
カーブコンベアの使用用途
カーブコンベアは、搬送方向が異なる2つの直線搬送ラインを連結する必要がある交点部分に設置され、部品を方向転換する機能を果たします。物品を限られた敷地内で水平移動させる場合には、物品の方向転換が必要です。
具体的には、流れ作業によって自動車や電子機器、食品を製造する製造ラインでさまざまな部品や食材などを搬送するために使用されます。また、倉庫や搬送センターなどの物品の搬送ラインで物品の搬送や仕分けを行うためにも有用です。私たちが普段生活をする中でカーブコンベアを最もよく見かける場所として、回転寿司の店内や空港の荷物受取場などが挙げられます。
カーブコンベアを用いる場合は、遠心力によって物品がカーブの外側に向かって移動していきます。物品の落下を防止するために、円弧状に加工したガイドレールも一緒に設置されるのが一般的です。
カーブコンベアの原理
カーブコンベアは大きく3つに分けられ、それぞれ原理が異なります。
1. カーブローラーコンベア
カーブローラーコンベアは、直線状のローラーコンベアを円弧状に作り替えた構造をしています。ローラーコンベアでは、円弧状に配列される複数のローラーが使用されます。
ローラーは、ストレートローラーまたはテーパーローラーです。ストレートローラーの外径は一定になっています。テーパローラーは、カーブの内側で外径が小さく、かつカーブの外側で外径が大きくなっているのが特徴です。
カーブローラーコンベアには、ローラーを回転させるモーターが設置されているものとモーターが設置されていないものがあります。モーターが設置されていないローラーコンベアの場合、運搬物の移動に伴ってローラーが従動的に回転します。
カーブローラーコンベアでは構造上、ローラーの間隔以上の運搬物しか搬送できません。一方で、安価かつ大型のものが作成できることから、カーブローラーコンベアは重量物や段ボールを用いた運搬物に適用されます。
2. カーブベルトコンベア
カーブベルトコンベアは、円錐状に形成される連続的なベルトをテーパーの付いたプーリーに掛け渡した構造をしています。ベルトは、カーブの曲率に合わせて円錐状に加工されたカーブベルトです。カーブベルトコンベアには動力源として、モーターが付いています。
重量物を搬送する場合には、主に下流側のプーリーをモーターで回転させることによってベルトを動かす「ヘッド駆動方式」が採用されます。2プーリー駆動方式として、上流側のプーリーも回転させることによって、カーブベルトコンベアを逆回転仕様にしたり、運搬物の搬送力を高めたりすることが可能です。
軽量物や逆回転が必要な運搬物を搬送する場合には、上流側のプーリーと下流側のプーリーの間にベルト駆動用のプーリーを設けて、モーターとインバータを設置する中間駆動方式が採用されることがあります。
3. トップチェーンコンベア
トップチェーンコンベアは、トッププレートを有する連続的なトップチェーンをスプロケットに掛け渡した構造をしています。トップチェーンを動かすための駆動源として、モーターが付いています。
トップチェーンコンベアの場合、カーブ部分でトッププレートの重なり状態が変動します。回転寿司の店内や空港の荷物受取場で見かけるカーブコンベアはトップチェーンコンベアです。
カーブコンベアの選び方
カーブコンベアを選ぶ際は、運搬物の種類やメンテナンス性を考慮することが大切です。
1. 運搬物の種類
ローラーコンベアは下面が平らな運搬物の搬送には適していますが、下面に凹凸がある運搬物や袋状の運搬物の搬送には向いていません。一方、ベルトコンベアやトップチェーンコンベアでは下面が平らな運搬物はもちろん、下面に凹凸がある運搬物や袋状の運搬物の搬送も可能です。
また、ローラーコンベアやトップチェーンコンベアは、粒状の運搬物の搬送に向いていません。この場合、ベルトコンベアの使用が適しています。
2. メンテナンス性
ベルトコンベアではベルトのテンション調整を定期的に行い、トップチェーンコンベアではチェーンへの給油を定期的に行う必要があります。そのため、ベルトコンベアやトップチェーンコンベアのメンテナンス性は良くないです。一方、ローラーコンベアはそのような調整が不要でメンテナンスが容易と言えます。
参考文献
https://forbo.blob.core.windows.net/forbodocuments/10183/FSJ-19.pdf