バルブスプリング

バルブスプリングとは

バルブスプリング

バルブスプリングとは、エンジンの吸気バルブや排気バルブを閉じるためのばねを言います。コイルスプリングを一般的には使います。スプリングの材料は、ピアノ線や耐熱ばね鋼が使われます。

バルブスプリングは強すぎても開閉がスムースでなく、弱すぎるとバルブの密閉度が低くなって密閉が保たれないことになり、適度な強さが求められます。バルブの動きを改善するため、二つのコイルスプリングを組み合わせた複合スプリングやコイルのピッチを場所によって変える不等ピッチスプリングなどが多く使われます。

バルブスプリングの使用用途

バルブスプリングは、レシプロ型エンジンに必要不可欠な部品です。

自動車用エンジンでは、乗用車やトラックのガソリンエンジンやディーゼルエンジンをはじめ、レーシングカー、雪上車、スノーボード、気動車などのエンジンに多く使われています。

船舶用エンジンでは、漁船、モーターボート、船外機エンジン、客船、貨物船、及びヨットの補助エンジン、警備艇、軍艦、潜水艦などに使用されます。

農業では、耕運機、トラクター、収穫車、消毒・肥料散布、及び田植え機、コンバイン、草刈り機、発電機など、林業ではチェーンソー、枝打ち機など、土木用ではパワーシャベル、ブルドーザ、杭打機、及び削岩機、道路工事車など、多用途に使われます。

バルブスプリングの原理

レシプロ型のエンジンでは、シリンダの中で吸入、圧縮、膨張、排気の4つのサイクルが行われます。ピストンがシリンダの中を2往復即ち出力軸が2回転するごとに4つのサイクルが行われ、これを4ストロークエンジンと呼びます。

シリンダヘッドには燃焼室があり、ピストンが空気を吸い込む吸入時と、燃焼・膨張後のガスを排気する時に、バルブが開きます。即ちシリンダヘッドに組み込まれた吸気弁と排気弁とが開閉します。バルブスプリングは、吸気弁と排気弁を常にシリンダヘッドの弁座に押し付けて燃焼室からの漏れを防いでいます。そして回転するカムがバルブを押し開くことで開閉が行われます。カム軸は出力軸の1/2の回転速度で回転して、出力軸2回転ごとに吸気弁と排気弁の開閉を行います。

エンジンの回転速度が上がっても、バルブがカムに確実に追従することが必要であり、バルブスプリングは相当強いばねになって、ばねの機能・強度・耐久性の確保には高度の技術が要ります。ばねの繰り返し変形により金属といえども疲労破壊が懸念されます。

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