ベトファイターとは
ベトファイターとは、農作物に使用する農薬で、殺菌剤の1つです。
べトファイターの形状は顆粒状になっていて、水に溶かして使用するため、顆粒水和剤に分類されます。顆粒水和剤は水にいれると速やかに粒が崩壊し水と混ざり、泡立ちが少ないのが特徴です。
また、農作物のべと病や疫病に対して高い予防性と残効性 (散布した農薬の効果が持続する期間) の長さも特徴の1つです。べと病、疫病ともに玉ねぎ、カボチャ、ダイコン、ブロッコリー、馬鈴薯、ハボタン、ブドウなどさまざまな野菜や果樹、花きに発生するため、べトファイターでの科学的防除が有効に活用されています。
ベトファイターの使用用途
ベトファイターを使用する大きな目的は、登録がある適用作物のべと病、疫病の予防のためです。
1. べと病
べと病は、カビ (糸状菌) による病気で、農作物の葉に白や黄色の斑点が発生します。症状が進行すると葉に黒い病斑ができたり、葉の裏にカビが発生したりして、最悪の場合は株が枯死してしまいます。
べと病は湿度が高く、気温が低い時期に発生することが多いです。特に梅雨の時期や秋雨の時期に多く発生が確認されていて、一気に広がってしまうため注意が必要になります。
また、株の根本に枯れ葉などがあり、風通しの悪い環境や水はけの悪い土壌などでも起こる可能性が高いです。
カビ (糸状菌) が原因の病気なので、殺菌剤を散布すると高い予防効果になります。殺菌剤以外の方法で予防する場合は、風通しをよくするため株間を広げたり、根本の枯れ葉を片づけたりします。また、土の中にいるカビ (糸状菌) が雨などによる水はねで農作物にかからないようにマルチングをすることも効果的です。
2. 疫病
疫病もべと病と同じくカビ (糸状菌) が原因で発症する病気です。初期症状は葉に水がしみたような褐色や黒色の斑点ができたり、乾燥していると葉が茶色く枯れたようになります。症状が進行すると果実が腐敗したり、葉の斑点にカビが発生したりし、最悪の場合は株が枯れてしまいます。
ナスやトマト、馬鈴薯などナス科の作物は特に疫病に罹る可能性が高いため注意が必要です。発生条件もべと病と似ていて湿度が高く、気温が20℃近辺で発生しやすいと言われています。べと病同様、梅雨の時期と秋雨の時期は発生条件に近いので注意が必要です。
カビ (糸状菌) が疫病を引き起こすため、殺菌剤を散布すると予防効果が高いです。また、病原菌が土の中にある植物の残渣などで生息しているので、一度でも疫病に罹ってしまった農作物の残渣は畑の土と混ぜ合わせずに、畑の外に持ち出して処分することが大切です。
べトファイターの特徴
長所
- 高い初期感染抑制効果があるため、植物内に病原菌が侵入後 (病徴発現前) でも発病を抑制することができる。
- 浸達、移行性に優れているため散布のむらができてしまっても、植物全体に薬剤の効果がいきわたり、植物内外で高い予防効果が期待できる。
- 登録作物によっては、使用時期が収穫の前日までなので散布から出荷の流れがスムーズに進む。
短所
- 薬剤や散布機などコストがかかる。
- ホウレンソウやハクサイなど冬場によく栽培される農作物の作物登録が少し少ない。
ベトファイターを選ぶ際は、コストに見合う成果がでるか検討することが大切です。
べトファイターのその他情報
使用上の注意点
- ボルドー液などのアルカリ性農薬と混ぜて、一緒に散布することはできません。
- 1回の栽培において、使用できる回数が決まっているので注意が必要になります。また、同じ成分の農薬 (シモキサニル、ベンチアバリカルブソプロピル) では総使用回数が決まっているので、他の農薬散布回数にも注意が必要です。
- 有効年限が製造から3年となっているので、有効年限内に使い切る必要があります。
- 散布時は手袋やマスクなどを着用し、目や鼻、肌に直接かからないよう注意が必要です。