イヤーシリンジとは
シリンジとは注射筒のことで、イヤーシリンジとは文字通り耳に使用する注射筒です。
一般的なイヤーシリンジは、中空の球体と噴出口が一体化した形状の器具で、スポイトのように手動で握り圧縮して球体中の液体を排出し、また、圧縮状態から解放することで液体を吸引する機能があります。イヤーシリンジはポリ塩化ビニルやシリコンなど、耳腔を傷つけない柔軟な材質で作られています。
イヤーシリンジは医療器具であり、使用後に廃棄する場合は医療機関や行政が定める規則に従う必要があります。
イヤーシリンジの使用用途
イヤーシリンジは、主に耳鼻咽喉科で使用される医療用の器具で、外耳から膿を吸引し、また、耳腔に洗浄液を噴出して耳の洗浄を行うなどの用途に使われます。
イヤーシリンジは、耳以外にも、鼻汁・唾液・外傷部全般の膿などの吸引や鼻腔の洗浄などに使用されます。
イヤーシリンジは、医療機関だけでなく一般的に購入が可能なので、家庭で耳腔洗浄に使用する事例もあります。湿型耳垢の多い欧米では家庭でイヤーシリンジを使用する事例は多く見受けられますが、乾型の多い日本では症例されていません。
イヤーシリンジの特徴
イヤーシリンジは、ポリ塩化ビニル製またはシリコン製の、中空の球体と先端に噴出口がある円錐とが一体化したスポイト上の医療器具です。容量は60mlが一般的ですが、30ml、90mlのものもあります。
イヤーシリンジは耳腔・鼻腔に直接挿入して使用します。ポリ塩化ビニルに対しアレルギーを持つ人に対しては、シリコン製のイヤーシリンジを使用するとよいでしょう。
イヤーシリンジを使って膿・鼻汁・唾液などの吸引を行うときは、球体部分を手で押しつぶした状態で耳腔・鼻腔などの使用箇所へ円錐部分を挿入し、球体部にかかる力を少しずつ緩め、球体部の復元力によって液体を吸引します。
また、洗浄液を用いて耳腔・鼻腔を洗浄する場合は、液体の吸引と同じ要領で洗浄液を吸引した後、噴出口を洗浄部位に向け、もう一度球体部分を握って圧縮して目的部位の洗浄を行います。
イヤーシリンジは、酸化エチレンガス(EOG)滅菌と呼ばれる低温滅菌を施された状態で出荷されます。使用後に再滅菌すること、再使用することは禁止されています。