ボラードとは
ボラードは、車止めとも呼ばれており、道路の付属物として、道路法第2条第2項第1号に「道路上の柵または駒止め」と規定されている駒止めの一種です。
一般的には、円柱型の支柱のような形状をしており、地面に対して垂直に設置されます。
ボラードは、主に交差点などで、横断歩道との接続部や交差点の開口部に設置し、人的被害を防ぐことを目的としています。
ボラードを設置することにより、万が一、車両が歩道に向かって進行した場合でも、車両の進入を防ぎます。
ボラードの種類
ボラードには、大別して以下の2種類があります。
1.N型ボラード
N型ボラードは、車両の衝突に対して抵抗しない付属物です。車両の進入を抑止する目的で使用されます。また、歩行者用道路と車両用道路を交差点の開口部で区切る目的においても活用されています。
N型ボラードに似た用途として、歩行者・自転車用柵がありますが、歩行者などの通行を維持する用途としては、N型ボラードを活用し、歩行者の横断を防止する目的としては、歩行者・自転車用柵を活用します。
2.H型ボラード
H型ボラードは、耐衝撃性のボラードとして活用されており、車両の衝突に対して抵抗します。車両の進入を防止する目的で使用されます。また、N型ボラードと同様に開口部を区切る目的においても活用されます。
H型ボラードに似た用途として、車両用防護柵がありますが、通常は、車両用防護柵を優先して設置します。
しかし、車両用防護柵を連続して設置できない場合には、車両用防護柵を補完する目的でH型ボラードを設置します。
ボラードの設置基準
ボラードの設置においては、N型ボラードとH型ボラードで区分が異なります。それぞれを以下で解説します。
1.N型ボラード
N型ボラードは、車両の走行速度が低く、歩行者の通行需要がある場合に設置します。基本的には、道路の幅が狭い箇所において、道路を視覚的に区別でき、歩行者の安全を確保できる箇所で活用します。
N型ボラードの高さは、0.85m以下で車両から歩行者が確認でき、歩行者が安全を確認する際に視界を妨げない高さにしなければなりません。
2.H型ボラード
H型ボラードは、歩行者の危険度が高く、車両の走行速度が高い道路や見通しが悪い道路において設置します。特に歩行者用道路で待機する利用者が多い場合には、安全のために設置を検討しなければなりません。
また、H型ボラードの高さは、0.70m以上0.85m以下で車両から歩行者が確認でき、歩行者が安全を確認する際に視界を妨げない高さにしなければなりません。その際にH型ボラードにおいては、車両のバンパーの高さを考慮して設置する必要があります。
例えば乗用車では、車種によらずバンパーが約0.50mの高さですが、貨物車では、8tの場合に約0.60m、25tでは、約0.70mになります。
さらに、H型ボラードは、車両の衝突に抵抗するタイプであるため、Hc種とHb種の2つの種類があります。
Hc種
Hc種は、車両の質量が1.8tで、衝突速度が35km/h以上、歩道に対する進入角度が15度の場合に設置します。
Hb種
Hb種は、車両の質量が1.8tで、衝突速度が45km/h以上、歩道に対する進入角度が15度の場合に設置します。
ボラードの設置箇所
ボラードは、一般的に道路や交通状況、過去の交通事故状況などを検討して設置を行います。ボラードの必要性は、地域により異なり、前述した以外にも地域のニーズや安全点検の結果などを考慮した総合的な判断を必要とします。
特にH型ボラードを設置する場合には、車両がすり抜けないように、設置間隔を1.5m以下にしなければなりません。
ただし、歩道には、さまざまな利用者がいるため、多くの人が快適に利用できるような配慮が必要です。想定される利用者には、一般的な歩行者以外にも、車いすや杖、自転車を活用している利用者がいます。
車いすでの通過を想定する場合には、幅を約1.0m以上あけなければなりません。
また、杖を活用したままでの通過を想定する場合には、幅を約1.2m程度あけなければなりません。
さらに、積雪がある地域では、除雪作業に支障をきたさないように配慮する必要があり、歩行者が転倒した際に危害を及ぼさないような配慮も必要です。