摩擦試験機とは
摩擦試験機とは、被試験物に一定の荷重を掛けて所定の相手材を摺動させ、被試験物の摩擦係数を測定する試験機です。
ゴムや塗膜、プラスチックおよび金属、布などが被試験物であり、これらの摩擦係数を測定します。摺動は、回転や往復によりおこなわれ、水平な状態で摺動させる必要があるため、摩擦試験機の設置場所は水平でなければいけません。
素材や目的に応じてJIS規格があり、それに対応した試験機を選ぶことが大切です。ただし、JIS規格に準じた摩擦試験機は、摩擦係数を測定できません。
摩擦試験機の使用用途
摩擦試験機は、様々なものの摩擦係数を測定するのに使用されています。例えば、建材の評価にも使用されており、具体的には体育館や住宅にある木製の床の滑りやすさや、ペンキなどの塗膜の引っ掻き強度の測定などです。
また、医療分野で人工関節の摩擦測定や注射針の摩擦測定にも使用されています。
摩擦試験機の原理
摩擦試験機は、大きく分けて回転型と往復型の2タイプです。どちらも点接触型と線接触型、面接触型があります。
1. 点接触型
点接触型には、ボールオンプレート方式、ボールオンディスク方式があります。これら試験方式での「ボール」は球状の相手材、「ディスク」は被試験物よりなる円盤、「プレート」は被試験材よりなる板です。
したがって、被試験体がディスクであるときは、回転させながら摩擦係数を測定し、プレートであるときは、往復摺動で摩擦係数を測定しています。
2. 線接触型
線接触型は、ブロックオンリング方式とピンブロック方式です。ブロックオンリング方式は、円筒状の相手材の側面にブロック状の被試験物を押しあてて摩擦係数を測定しています。
ピンブロック方式は、ピン状の被試験物を一対のブロック状の相手材で挟み込み、その中でピンを回転させて摩擦係数を測定する方式です。
3. 面接触型
面接触型には、ブロックオンプレート方式とピンオンディスク方式、スラストシリンダー方式があります。なお、この方式での「ピン」は円柱状の相手材を示します。スラストシリンダー方式は、平板上の被試験物に円筒状の相手材の端面を押し当てて摩擦係数を測定する方式です。
摩擦試験機のその他情報
摩擦試験の規格
摩擦試験は、様々な製品の評価に用いられます。摩擦に関するJIS規格の代表的なものは、以下の通りです。
- JIS L0849
摩擦に対する炎色堅ろう度試験方法 - JISK6404-4
ゴム引布及びプラスチック引布試験方法-第4部:耐久試験 - JIS K6559-1~3
革試験方法-染色堅ろう度試験-摩擦に対する染色堅ろう度試験-1,2,3部 - JISL0849
摩擦に対する染色堅ろう度試験方法 - JIS K7218
プラスチックの滑り摩耗試験方法
摩擦係数測定器
製品の評価を行う場合は、これら規格に応じた摩擦試験機を使用する必要があります。例えば、JIS L0849に準拠して繊維製品や革などの摩擦に対する染色堅ろう度を評価する際には「クロックメータ」を使用します。
このように、製品が規格に合っているか確認するには、JIS規格に準拠した摩擦試験機を使用することが重要です。ただし、これらのJIS規格に準じた摩擦試験機は摩擦係数の測定などはできません。
参考文献
https://kikakurui.com/k5/K5600-5-10-1999-01.html
https://www.kaken.or.jp/test/search/detail/11
https://www.chiba-c.ed.jp/funako/fttp_kousin/ssh/reserch/2019/2019_02p2.pdf
http://tri-osaka.jp/technicalsheet/4.PDF
https://www.iri-tokyo.jp/uploaded/attachment/2010.pdf
https://www.jisc.go.jp/index.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/68/9/68_9_673/_pdf