車載ECU

車載ECUとは

車載ECU

車載ECUとは、自動車のさまざまな機能を電子制御する装置です。

かつて排ガス規制に対応するためにエンジンの電子制御化が進み、ECUを搭載してきめ細かい制御が可能になりました。当時のECUは「Engine Control Unit」の略です。

一方で、現在の車載ECUは、エンジン制御以外にもトランスミッション・ブレーキ・パワーステアリング・エアバッグなどの機能を制御していることから「Electronic Control Unit」と呼ばれ、1台の自動車に50〜100個のECUが搭載されています。

車載ECUの使用用途

自動車には、用途に応じて多様な種類の車載ECUが搭載されています。

  • エンジン制御ECU
    エンジンが必要とする燃料噴射量・点火時期を制御します。
  • ハイブリッド制御ECU
    ハイブリッド車のエンジンとモーターを発進時・通常走行時などの状況に応じて最適に駆動させる制御を行います。
  • トランスミッション制御ECU
    複数のギア比を必要に応じて切り替える制御を行います。
  • パワーステアリング制御ECU
    は運転者が少ない力でハンドル操舵できるよう制御します。
  • エアバッグECU
    自動車の衝突時に衝撃レベルを判断してエアバッグを展開させます。
  • 先進運転支援システムECU
    衝突被害軽減ブレーキ・車間距離制御・無線通信によるソフトウェア更新などさまざまな用途に対応します。

車載ECUの原理

センサから車載ECUに送られてくる信号のインタフェースは、オンオフ信号・アナログ信号・シリアル通信に分類されます。このうち、デジタル処理されたシリアル通信には、2本のワイヤを使った差動電圧方式のCAN (Controller Area Network) 、ライン型バス構造のLIN (Local Interconnect Network)、センサ・ECU間を1対1でつなぐ送信専用通信のSENT (Single Edge Nibble Transmission) 、ツイストペア2線の電流変調式通信のPSI (Peripheral Sensor Interface 5) など、さまざまなプロトコルがあります。

1. CAN (Controller Area Network)

従来のECU間の通信は配線の本数が多いため、配線スペース確保の必要や重量の増加が問題点としてありました。一方CAN通信では少ないハーネスで接続が可能になり、1つの情報を複数のECUで共有することが可能です。

複数のECUから自由にデータ送信を行うとデータが衝突してしまう恐れがあります。それを解決するのがCANのCSMA/CA (Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance) と呼ばれる仕組みです。

送信データに優先度の情報を付与させます。複数ECUから同時にデータ送信が生じてもデータ同士の優先度を比較し、優先度が高いものを送信データとして選定する方式です。

2. LIN (Local Interconnect Network)

LINは通信の高速性が要求されないボディ制御系などで使用されます。具体的には、ドアミラーやパワーシートなどです。通信スケジュールを管理するマスタノードとデータ送受信を行うスレーブノードといった2種類の端末で通信を行うマスター・スレーブ方式を取ります。

3. SENT (Single Edge Nibble Transmission)

SENTは、高精度のアナログ信号を扱う電動パワーステアリング・エンジン制御などで使用されます。LIN通信と比較して通信速度が速い特徴を持ちます。センサとECUを繋ぐ送信専用通信を指します。

車載ECUの構造

車載ECUは、マイクロコントローラ、入出力機器等の周辺装置、通信モジュールから構成されます。自動車は、カメラ・ミリ波レーダー超音波センサー・LiDAR (Light Detection and Ranging) など用途に応じたさまざまなセンサが検知した信号が車載ECUの入力装置に送られ、その情報を元にECU内のマイクロコントローラが判断し、出力装置を経て各部アクチュエータに指示を出すことによって電子制御されます。

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