ターボチャージャー

ターボチャージャーとは

ターボチャージャー

ターボチャージャー (英: Turbocharger) とは、過給機と呼ばれる装置の一種です。

ターボチャージャーを搭載することで、エンジン内に圧縮した空気を送りこみ、同じ排気量でもより高い出力を引き出すことができます。軽自動車などに搭載されている小型エンジンの場合、トラックの大型エンジンと比べてエンジン内に取り込める空気の量が少なくなるため、その分パワーが劣ります。

しかし、圧縮した空気であれば、小さいサイズであっても通常以上の空気を送ることが可能です。例えば、1,000ccの排気量を持つエンジンであっても、ターボチャージャーで圧縮した空気を送り込めば、2,000ccの排気量を持つエンジンに匹敵するパワーを得ることが可能になります。

ターボチャージャーの原理

ターボチャージャーは、次の部品によって構成されています。

  • タービン: 排気ガスを動力源にして回転する部品
  • コンプレッサー: 空気を圧縮する装置
  • ハウジング: タービンとコンプレッサーによって生まれた流れを制御する部品

風車の羽のような形状のタービンは、エキゾーストマニホールドを通じて排出されるエンジンの排気ガスの流れを動力源として回転し、タービンに連動してコンプレッサーが稼働します。そして、吸入した空気を圧縮し、エンジンへと供給します。

ターボチャージャーの使用用途

ターボチャージャーは、エンジンの排気ガスを動力源としているため、エンジンから排気ガスが出る高回転域での稼働が強みです。また、排気ガスという本来排出するものを使っていることから、スーパーチャージャーに比べると効率が良く、搭載することで、燃費性能も向上させることができます。

高回転域でのエンジン稼働時間が長い自動車をはじめ、船舶、発電機、建設機械、鉄道、航空機などで幅広く使われています。自動車などでは、同じ排気量でもエンジンの出力を上げられることや、排気量によって自動車税額が変動することから、軽自動車やコンパクトカーなどに多く採用されています。

よく、車の名称の後に「ターボ」とついているものは、このターボチャージャーが搭載されているという意味です。

ターボチャージャーの種類

ターボチャージャーには、構造の違いによって次の3種類が存在します。

1. シングルターボ

ターボチャージャーが1つついた構造となっています。重量などの関係から、主に軽自動車やコンパクトカーに採用されることが多い種類です。

2. ツインターボ

ターボチャージャーが2つついた構造となっていますが、ただ単純に同じ種類のターボチャージャーを2つつけているという訳ではなく、違う2種類のターボを組み合わせることで、低回転域でうまく稼働するよう工夫したものがほとんどです。

ターボチャージャーの欠点であるターボラグを少なくする事ができる一方で、重量がその分重くなり、かつコストも上がってしまうのがデメリットです。

3. ツインスクロールターボ

シングルターボと同様にタービンが1つの構造でありながら、排気ガスの取り込み口が2つあるのが特徴です。ツインエントリーターボとも呼ばれます。

2つあることで、低回転域での稼働時と、高回転域での稼働時で、取り込み口を使い分けることができ、ターボラグの影響を極力抑えることができます。全回転域で効率良くターボチャージャーを稼働させることができることから、近年利用されることが多くなりました。

ターボチャージャーのその他情報

1. 電動ターボチャージャー

ターボチャージャーの不得意領域である低回転域での稼働を、電動モーターでアシストし、全回転域で効率的、かつ安定的に稼働できるのが電動ターボチャージャーです。

一方で、電動モーターを搭載しているということから、従来のターボチャージャーよりも重く、コストが高いというデメリットもあります。また、高温な排気ガスに電動モーターが耐えうる設計にしなければならず、設計の難易度が高いということから、まだ実用化に至っていないのが現状です。

2. ダウンサイジングターボ

車の中で最も重い部品である、エンジンをあえて小さく軽量化したものです。代わりにターボチャージャーを取り付けることで、小さくする前と同じエンジン出力を出すエンジンも開発されています。

3. スーパーチャージャーとの違い

過給機にはターボチャージャーとスーパーチャージャーの2種類が存在します。その違いは、動力源と性能です。ターボチャージャーはエンジンの排気ガスの流れを動力源として稼働しますが、スーパーチャージャーはエンジンのクランクやベルトを動力として稼働します。

エンジンの排気ガスを使って動くという特性上、エンジンが稼働してすぐの低回転域ではうまく稼働せず、エンジンの回転数が上がるにつれて働くようになります。これをターボラグと呼びます。

一方で、スーパーチャージャーは、動力源がエンジン自体であるため、エンジンが動き出してすぐの低回転域でもしっかりと働くことができます。ある一定の出力を超えると空気圧縮効率が落ちてきてしまうという欠点があり、トータルで空気を効率的に圧縮できるターボチャージャーが主流となっています。

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