ステアリング

ステアリングとは

ステアリング

ステアリングとは、自動車などの乗り物や産業用機械の動きを制御するための機構です。

自動車、オートバイ、船などの乗り物や、クレーンやフォークリフトなど産業用機械での用途があります。乗り物ではその進行方向を変えるために使用し、産業用機械ではその主要な動きを制御するために使用します。

自動車の場合、ステアリングは運転者が操作するハンドルから、前輪の向きを変えるまでの機構のことです。また、ハンドルのことをステアリングやステアリング・ホイールと呼ぶことも多くあります。

本記事では、自動車のステアリングについて解説します。

ステアリングの使用用途

ステアリングは、運転者が自動車の進行方向を変えるために使用します。運転者がハンドルを回すと前輪がハンドルを回した方向に、ハンドルを回した角度に応じて傾きます。

自動車の前輪は、走行中に曲がる際に内輪と外輪で軌道の大きさに差が生じます。ステアリングは進行方向を変える際に、内輪と外輪の切れ角に差をつけて内輪と外輪の軌道の違いによるスリップの発生を防ぐ機構が組み込まれているのが特徴です。

その他、ハンドル操作を軽い力で行うためのパワーアシスト機構 (パワーステアリング) や、運転者の体形に合わせてハンドルの位置を調整する機構などが設けられています。また、ハンドルは運転時に運転者の正面に位置します。そのため、ハンドルにホーンを鳴らすボタンとエアバックが組み込まれているケースがほとんどです。ハンドルのコラム部には、ワイパーやライト関連のスイッチが設置されています。

近年では、ハンドル上にオーディオ関連のスイッチや、前車追随機能付きのクルーズコントロールスイッチなどの運転支援関連のスイッチを組み込んだものも多くあります。

ステアリングの原理

ハンドルを回転させると、その回転はステアリングシャフトを介してステアリングギアボックスに伝わります。ステアリングギアで回転が横方向の動きに変換され、ステアリングギアボックスから左右に延びているタイロッドを左右方向に動かします。ハンドルを右に切ったときは、タイロッドは左側にスライドして左側が長く、右側が短くなるのが基本です。

タイロッドの先端は、車輪につながるステアリングナックルから出て車体の中央に向け斜め後ろ方向に延びたナックルアームにつながっています。タイロッドが、このナックルアームを押したり引いたりして車輪の角度が変わります。

このように自動車のステアリングは、アッカーマン機構といわれる内側の車輪が、外側の車輪よりも小さな半径で曲がる、言い換えると大きな切れ角で曲がる構造です。それにより、自動車は左右のタイヤが同心円状の軌跡を描き、スムーズに曲がれるようになります。

なお、ハンドルの回転をタイロッドの左右方向へのスライドに換えるギアボックスには、ラック&ピニオン式やボールナット式があります。

1. ラック&ピニオン式

ステアリングシャフトの先端にピニオンギヤを装着し、シャフトに刻まれたラックと嚙合わせることで横方向に変換します。剛性が高く、応答性にも優れているため、現在販売されている自動車の多くに使用されています。

2. ボール・ナット式

ボール・ナット式は、ステアリング軸の回転をボール循環式スクリューを使って直線方向の動きに換えて、前輪の角度を変える方式です。耐久性が高く、路面からのキックバックを受けにくく、ハンドル操作も軽いので、トラックなどに多く採用されていました。

しかし、ラック&ピニオン式よりも部品が多く、複雑であるため、現在ではあまり採用されていません。

ステアリングの種類

今日生産されている自動車のステアリングは、ハンドル操作に必要な力を小さくするためのアシスト機能が備わった、パワーステアリングがほとんどです。パワーステアリングは、油圧によるアシスト方式とモーターによるアシスト方式があります。現在では、モーターを使った電動パワーステアリングが主流です。

また、運転者の体格に合わせてハンドルの角度を変えられる機能を備えたステアリングをチルト式ステアリングと言います。運転者とハンドルの距離を変えられる機能を備えたステアリングはテレスコピックステアリングで、これらの調整機能も広く普及しています。

さらに、アシスト機構と調整機能を全て備えたステアリングも広く採用されるようになりました。例えば、自動車のカタログには「チルト&テレスコピック調整機能付きの電動パワーステアリング」などと記載されています。

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