ビニールロープとは
ビニールロープとは、合成繊維を用いて作られたロープ全般のことです。
材質によってさまざまな性質を有しています。ビニールロープは合成繊維を用いていることから、綿や麻といった天然繊維のロープと比較して、強度や耐水性、耐薬品性に優れている反面、耐熱性や耐摩耗性、紫外線耐性に劣る製品もあるため注意が必要です。
ポリエステルやビニロンといった素材を用いたビニールロープはこれらの問題点に対応している製品も多く、材質を理解したうえで選定することが重要となります。 ビニールロープは材質のみならず、太さや打ち方 (より合わせ方) によってもさまざまな種類があり、強度やキンクと呼ばれる型崩れのしやすさに大きく影響します。
一般的な3本のロープをより合わせた3ツ打ちは強度がある反面、キンクを起こしやすいため、クロスロープやブレード打ちと呼ばれるキンクを起こしにくい編み方の製品も広く販売されています。
ビニールロープの使用用途
ビニールロープの使用用途は主に梱包、荷役用途ですが、その素材によってさまざまな特徴を有していることから、幅広い用途に用いられています。一例として、最も一般的に用いられるPP (ポリプロピレン) 製のロープは強度と価格の安さ、耐水性の良さから漁業や一般荷役用に使用される場合が多いです。
また、PE (ポリエチレン) 製ロープは、軽量で水に強く強度がある反面、硬く滑りやすいことから農業用ネットやインテリア用途に、ポリエステル製のロープは強度のみならず耐摩耗性、耐候性、耐水性に優れていることから救命ロープや命綱などに用いられています。
ビニールロープの特徴
ビニールロープは種類も多く、特徴もそれぞれ異なりますが、主な長所や短所は以下の通りです。
長所
ビニールロープの長所は、天然繊維の物に比べて強度が高いものが多いことです。耐摩耗性や引っ張ったときや引き裂いたときの強さにも優れています。
これらの物理的強度だけでなく、耐水性や耐薬品性、防カビ性などにも優れており、総合的に耐久性が高いと言えます。近年では、ビニールロープのリサイクル技術も進歩し、環境への配慮も進んでいる状況です。
短所
ビニールロープの短所は、基本的に生分解性を有していないことです。一部の物を除いて土に還ることが無いため、畑で使用した後には適正に取り除かなくてはなりません。
畑に放置しておくと分解されずに残るため、トラクターや耕運機を使用した際に爪に絡まり故障の原因にもなる場合があります。
ビニールロープの種類
ビニールロープの種類はさまざまですが、中でも特に使用されることが多い素材は以下のとおりです。
1. ナイロン
一般的なものの中で、最も強度に優れた特徴を持っています。摩擦やショックに対して非常に強く、若干水を吸う性質があります。
2. ポリエステル
酸やアルカリ、海水などに強く、対候性や耐摩耗性にも優れた丈夫なロープです。
3. ポリプロピレン (PP)
比較的安価で、強度に優れ軽量であるという性質があります。紫外線に弱いのが欠点ですが、これを補うために着色されているものもあります。
4. ポリエチレン (PE)
軽量で耐水性も高く強度にも優れていますが、硬くて滑りやすいという特徴もあります。
5. ビニロン (クレモナ)
強度や耐久性使いやすさに優れていますが、水に濡れた後に乾くとやや硬くなるという特徴もあります。幅広い用途で使用されているロープです。
ビニールロープの選び方
ビニールロープは多種多様であり、使用用途によって素材を選ぶ必要があります。
1. ナイロン
細手のものは装飾用やネット用、リード用に使い、太手のものは登山用やスリング、牽引用として使われるのが一般的です。
2. ポリエステル
細手のものは結束用に、太手のものは漁業用や船舶用、親綱などに多く使わております。
3. ポリプロピレン
細手のものを装飾用や結束用に、太手のものを荷役用や漁業用、船舶用として使用します。
4. ポリエチレン
細手、太手ともに農業園芸用やネット用に使用します。漁業用に太手のものを使用する場合もあります。
5. ビニロン (クレモナ)
細手のものをテントやタープ用、結束用に使用し、太手のものは荷役用や親綱などにも使用されています。