安来鋼とは
安来鋼とは従来、島根県付近の山陰地方において、たたら製鉄の製法を用いて生成された鋼の総称でしたが、現在では日立金属株式会社が島根県安来市の安来工場で製造している特殊鋼の総称として用いられています。後者は商標登録もなされており、YSSヤスキハガネとして知られています。
安来鋼はたたら製鉄の一種である直接製鋼法で製造された鋼であり、不純物の混入が少なく、古くから刃物類に用いられた鋼でした。特に島根県出雲地方は真砂と呼ばれる高純度の蹉跌が豊富であり、森林資源にも恵まれていたことから、その地方で生成された安来鋼は日本刀などの高級刃物に好んで用いられています。
安来鋼の使用用途
安来鋼の使用用途としては、日本刀をはじめとする刃物類の原料としての使用が挙げられます。これは現在製造されているYSSヤスキハガネでも同様であり、特に黄紙、白紙、青紙と呼ばれる炭素鋼については高級刃物鋼として知られ、広く用いられています。なおこれらの名称は鋼を分別する際の色紙に由来しており、具体的な違いとしては含有成分である炭素、タングステン、クロムなどの含有量が挙げられます。
また現在のヤスキハガネは特殊鋼の総称として用いられているため、刃物用のみならず工具、自動車用部品材料、航空機用材料、エレクトロニクス材料など様々な用途に用いられています。