PVC接着剤とは
PVC接着剤とは、塩化ビニル樹脂または塩ビ酢ビ共重合体を変性して製造した接着剤のことです。
塩化ビニル樹脂系接着剤とも呼ばれます。外観は通常、ゲル状の液体であり、溶剤臭を有します。
有機溶剤を使用している製品が一般的で、引火性、中毒性があることから適切な保管、使用には注意が必要です。
PVC接着剤の使用用途
PVC接着剤の使用用途として、PVCと呼ばれる塩化ビニルの接着が挙げられます。PVC接着剤を用いた塩化ビニルの接着は、樹脂そのものを膨潤させて一体化させることで接着するドープセメント法と呼ばれる接着方法であり、軟質塩化ビニルの接着に良く用いられています。
特に塩化ビニル配管同士の接着に用いられることが多いです。そのほか、金属とビニールシートの接着などにも使用されます。
PVC接着剤は部材をわずかに溶かしながら接着するため、部材同士が一体化することで一定の接着強度を持たせられる接着剤です。また、耐水性にも優れており、水漏れを防ぐ効果も期待できることから、塩化ビニル製の液体配管補修などにもよく用いられます。
PVC接着剤の特徴
長所
PVC接着剤は速乾性、耐水性に優れており、さまざまな粘度の製品が販売されているため用途に応じた製品の選定が可能なことが特徴です。また、固定する接着剤としての役割だけでなく、パイプを継手の奥まで挿入する際に潤滑剤として使用することもできます。
PVC接着剤は種類ごとに缶の色が異なる場合が多く、同じく種類ごとに色が異なる塩ビ管に合わせた配色で缶が作られているため、塩ビ管の接着に用いる際に間違えにくくとても便利です。
短所
有機溶剤を用いている接着剤であるため、接着物の耐溶剤性によっては、ひび割れやクラックなどが発生する恐れがあります。
塩化ビニルを軟化させる際に添加されている可塑剤は、接着したときに滲み出しビニルを硬化させたり、接着剤に移行することではがれやすくなったりする可能性があります。可塑剤については、メーカーやグレードにより性質が異なる点に注意が必要です。
PVC接着剤の種類
PVC接着剤にはさまざまな特徴をもつ製品が存在し、それぞれ粘度や成分によって対応するパイプの口径や用途が異なります。
1. 速乾タイプ
乾くのが早く、作業中に継手からパイプが抜けてしまうことが少ないことが特徴です。
2. 高粘度タイプ
口径の大きなパイプにも使用しやすく、打ち込みやすいことが特徴です。しかし、乾くまでに時間がかかることからパイプが抜けやすく、打ち込み後しばらくは支えておく必要があります。
3. 色付きタイプ
透明の他に、青、白、緑、紫などさまざまな色調の接着剤が存在し、接合の状態が分かりやすくなります。
PVC接着剤の選び方
PVC接着剤は非常に種類が多く、性質によって使用できる場所や用途が異なるため、製品情報をよく確認して選ぶことが非常に大切です。また、速乾タイプなどは一度開封すると長期の保存は難しくなります。
かたまってしまう他に、変色する、どろっとするなどといった劣化をすることも多いため、容量に注意して選んだ方が無難です。未開封でも使用期限が設けられている場合が多く、開封時に異変を感じたときは使用せず破棄することをおすすめします。
PVC接着剤の使い方
継ぎ目を接着するためには、まず接着させたい塩ビの表面のほこりや汚れ (水分、油分など) をふき取り、PVC接着剤を付け、少し溶かした表面同士を接合します。接着剤により乾燥速度は異なりますが、接着後しばらくは動かさず、支えておくと良いです。
表面を溶かし、溶けたものを補う役割を持っているためPVC接着剤で接合することにより、接着部位の強度を高めるという働きもあります。
パイプを奥まで挿入する際の潤滑剤として使用する場合は、挿入するパイプに接着剤を塗り、表面を溶かしながらゆっくりと挿入します。このとき、パイプが抜けやすくなっているため安定するまで支えておく必要があります。