生分解マルチ

生分解マルチとは

生分解マルチ

生分解マルチとは、生分解性の樹脂で作られた農業マルチです。

正式名称は「生分解性マルチフィルム」で、天然素材または化学合成素材をシート状に加工して作られます。従来のマルチでは、収穫後にマルチを剥ぎ取り廃棄する必要がありました。しかしながら、生分解マルチは土壌中の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、マルチを剥ぎ取る労力や手間の軽減につながる特徴があります。

生分解マルチの使用用途

生分解性マルチは、通常のマルチと同様に、雑草の防除・予防、地温の調整、病害虫の防除、用土及び肥料成分・水分の保持、土を柔らかく保つといった目的で、作物の育成時に使用されています。現在では、目的に応じてさまざまな種類の生分解マルチが製造されています。

生分解マルチの種類

1. 原料による分類

生分解マルチには、トウモロコシやサトウキビのデンプンなど植物由来の原料を用いたものと、石油由来の原料を用いたものがあります。

2. 分解速度による分類

生分解マルチには、2~3ヵ月で分解するタイプと、4~5ヵ月で分解するタイプのものがあります。栽培する作物の生育期間にあわせて、生分解マルチの分解速度を選択することが大切です。

生分解マルチの選び方

生分解マルチを選定する際は、下記のポイントを考慮する必要があります。

1. 分解速度作物にあっているか

生分解マルチは、2~3ヵ月で分解するタイプと、4~5ヵ月で分解するタイプの2種類が一般的です。作物の栽培期間中にマルチの分解が始まると、マルチとしての効果が薄れてしまいます。栽培する作物の成長速度に合った分解速度のものを選ぶことが大切です。

2. 使い切れる量か

生分解マルチは時間が経つと分解が進むため、購入後はすぐに使用するようにします。購入する際には、使い切れる量だけ都度購入するようにすることが理想的です。また一時保管する際は、雨や直射日光が当たらない、風通しのいい場所に置き、なるべく早く使用を開始するのがポイントです。

3. 費用対効果は高いか

生分解マルチは、通常のマルチと比較して価格が高いのが現状です。また生分解マルチの種類によっても価格は異なります。導入によって得られるメリットと費用を十分に検討したうえで、適切なタイミングで購入することが大切です。

生分解マルチの特徴

長所

1. 環境に優しい
従来のマルチはプラスチック製のものが多く、脱プラスチックを掲げる近年において、問題視する声も少なくありません。その点、生分解マルチは土壌中に存在する微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、プラスチックゴミの削減に繋がります。

2. 剥ぎ取りの労力が省ける
生分解マルチは、使用後に、トラクター等によって土に鋤き込むことで処理できるといった特徴をもちます。そのため、回収コストや廃棄処理コストがかからないという利点があります。マルチが土壌中に残らないよう手作業で取り除く作業も不要なため、作業にかかる労力や負担の軽減が可能です。

3. マルチ処理コストの削減につながる
近年では、脱プラスチックの動きに伴い、プラスチックを原料とするマルチフィルムの処理にかかるコストは年々増加傾向にあります。生分解マルチの使用においては廃プラスチックが発生しないため、廃棄にかかるコストを削減することができます。

短所

1. 価格が高い
生分解マルチはメーカーによって価格は様々ですが、従来のマルチと比較して3〜5倍の価格で販売されている場合が多く、導入コストは決して少なくありません。今後、生分解マルチの普及が進むことによって、価格が低下することが期待されています。

2. 強度が弱い
生分解性マルチは、20年以上前に市場に登場した当初と比較すると格段に強度が安定しました。しかしながら、従来のマルチと比べると、特に縦方向に裂けやすい傾向があります。展張する際には、ゆっくり張ることで亀裂を防ぐことが可能です。

3. 分解速度に気を配る必要がある
生分解マルチは、気象変化や紫外線、微生物の働き、水分などにより分解が進みます。水田の跡地など多湿傾向にある場所、また温度が高く紫外線量も多い夏場などは、分解が早く進む場合があります。また⼟壌消毒剤を使⽤した場合にも分解が早まりやすいため注意が必要です。

生分解マルチのその他情報

生分解マルチの補助金

持続可能な農業の推進を目的に、生分解マルチの購入に対して補助金を受け取ることができる自治体があります。金額や割合については自治体によって異なりますが、購入金額の1/3〜1/2程度が目安です。

生分解マルチの購入を検討する場合は、事前に自治体のHPなどで補助金の対象になるか確認しておくことがおすすめです。

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