超電導モータとは
超電導モータの超電導とは、ある特定の物質を超低温にした場合に急激に電気抵抗がゼロになる現象をいいます。
この超電導を用いると、低電圧で大電流を流すことが可能になるため、強力な磁場を形成でき、優れたトルク特性の電気モーターを実現できます。
しかし超電導線材にもし外部磁場が印可されて臨界磁場を超えると超電導状態が破れ、通常の電気的抵抗を有する常電導状態になるため、超電導磁場の取扱いには注意が必要です。
超電導モータの使用用途
超電導モータはその高いエネルギー変換効率と通常の同出力の電動モータと比較して小型軽量化が期待できるので、超電導リニア鉄道(通称リニアモーターカー)をはじめ、船舶や航空機等の推進エンジン用途等に使用が期待されています。
実用化が既になされている超電導リニアモーターカーとしては、上海マグレブトレインが有名で、日本でもJR東海が2027年の開業を目指し工事を進めています。
また超電導自体は、医療用MRI機器ではすでにおなじみの実用化された技術と言えます。
超電導モータの原理
超電導モータでは、その名の通り、モーターの回転子に超電導線材を用いたコイルを用い、低損失で高効率かつトルク特性の優れたモーターを実現しています。
なお、リニアモーターカーの駆動箇所には、超電導の強力な磁場を活用した磁石を車両機体の左右に直線(リニア)上に配置し、車両を浮かせることで、車輪の摩擦等の抵抗成分の影響が少ない超高速鉄道の運転が可能になります。
超電導物質には 液体ヘリウムの4K(-269度)の低温で電気抵抗がゼロになる超電導現象を有するニオブチタン合金 (Nb-Ti) 等の磁石が有名ですが、液体ヘリウムはその取扱いが大変かつ高価であるため、医療用MRI等これまで実用化された用途が非常に限られていました。
一方で近年、高温超電導磁石と呼ばれる液体窒素温度77K(-196度)で超電導状態が実現可能なビスマス系銅酸化物が発見され、研究開発が活性化しています。なぜなら、液体ヘリウムに比較して液体窒素は、安価で取扱いがしやすく、冷却器を小型低コストにできるためです。
ただし実用化にはまだまだ解決が必要な課題もあり、重工産業の大手各社がしのぎを削って開発している状況にあります。
超電導モータを研究開発している企業
川崎重工業株式会社
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20101101_1.html