硬鋼線とは
硬鋼線(こうこうせん)とは、通常、硬鋼線材を熱処理した後、伸線など、冷間加工して仕上げられた鋼線のことをいいます。
なお、硬鋼とは、鋼を分類する際に硬さを区分けの基準としたものです。
ピアノ線と比較されることが多いですが、ピアノ線は、規格が厳しく強度面などで優れる高級材料に対して、硬鋼線は、身の回りの製品に使用されることの多い、比較的安価な一般材料です。使用例としては、椅子やベッドなどの家具のばね類として使われる他、玩具やシャッター、自転車のスプリングなどがあります。
硬鋼線の使用用途
硬鋼線は、主な用途として、ばね、針、スポークなどが挙げられます。例えば安全ピンのばね、スイッチ類のばね、はかりのばね、自転車のサドルなどがあります。
この他、高圧ゴムホース用補強材、ドライバー材、ヘアーピンなどの身近な日用品に用いられる他、建築業界では、シャッタースプリングとしても使用されています。また、自動車産業では、シートスプリングとして使用されており、エレクトロニクス分野では、通信線・送電線の補強材としてなど、幅広い産業で使用されています。
硬鋼線の種類
硬鋼線の材料となる硬鋼線材は、含有する炭素量や成分の違いによって、21種類あります。しかし、これらの線材から作られる硬鋼線は、硬鋼線A種(SW-A)、硬鋼線B種(SW-B)、硬鋼線C種(SW-C)の3種類に分類され、硬鋼線A<B<Cの順番に引張強度が高くなります。
以下で、それぞれの種類について説明します。
- 硬鋼線A種(SW-A)
引張強さは、硬鋼線では一番低く、ばね用として使われることが少なく、金網や線材加工などに使用されます。 - 硬鋼線B種(SW-B)
引張強さがA種より高く、線材は、60カーボンが多く使われています。主に静荷重を受けるばね用として使われます。 - 硬鋼線C種(SW-C)
引張強さは、B種よりさらに高く、線材としては80カーボンが使用されます。
SW-Bと同様、主として静荷重を受けるばね用として用いられます。
なお、関連する規格としては「JIS G 3506 硬鋼線材」と「JIS G 3521 硬鋼線」が挙げられます。