キルド鋼

キルド鋼とは

キルド鋼とは鋼「鉄鋼材料」を作るための材料となる鋼を指します。
しかし、キルド鋼と規定されるには多くの条件があります。

鋼の製造工程として原材料である鉄鉱石を溶かして銑鉄を作ります。この銑鉄には不純物が多く含まれているため、製銑、精錬、製鋼と多くのプロセスを経て「鋼」が製造されます。

この製造工程の精錬工程では工程の最後に溶鋼中の酸素を取り除く(脱酸)を行います。
この工程で溶鋼から酸素を取り除くことにより、溶鋼が冷えて固まる時にガスの発生が抑えれれるため、高品質な鋼を作ることができます。

この脱酸の程度差により3種類の原材料(インゴット)となり、最も脱酸されている鋼をキルド鋼と呼んでいます。
この他に、脱酸の違いによりセミキルド鋼、リムド鋼と呼ばれる鋼があります。

キルド鋼に含まれる酸素量は約50~100PPM、ミキルド鋼に含まれる酸素量は約100~200PPM、リムド鋼に含まれる酸素量は200~400PPM位になっています。

キルド鋼の使用用途

キルド鋼とは鋼の製法により分類されます。
製造の過程で脱酸と成分の調整をしているため硬度が非常に高く特殊鋼の材料となります。

また、製造過程で行う鋼の成分調整として合金元素を添加するため硬度、粘り強さ、耐摩耗性、耐熱性、腐食性などの任意の特性を持つ鋼を製造することができます。

そのため硬度や粘り強さ等が必要な構造用鋼は車両、機械、建設、船舶など堅牢性が必要な部分に使用されます。

また、高硬度である工具鋼は切削に用いる工具の材料をはじめ、金型やバイト、ドリル等に使用されています。
これらの硬度や組成成分に関してはJISにより詳細に規定されています。

キルド鋼の特徴

キルド鋼の分類方法の1つとして脱酸を行う時に使用する脱酸剤の違いにより分類できます。

脱酸剤にシリコン(フェロシリコン)を使用した場合はシリコンキルド鋼となり、脱酸剤にアルミニウムを使用するとアルミキルド鋼と呼ばれます。
また、キルド鋼は炭素鋼、合金鋼、SS材などの原材料になるため、組成成分の違いにより非常に多くの分野に使用されます。

まず一般的には強度が要求される構造用鋼です。構造用鋼は一般的な強度が必要とされる土木、建設、機械などの分野に使用されます。
ステンレス鋼も特殊鋼となりますが、一般家庭の中でも多く使用されていますので意外と身近な金属になっています。

また工具鋼などは切削、加工する工具、プラスチック成型に使用する金型などに使用するため非常に高い硬度が要求されます。
また、超合金は超高温でも高硬度を保てるため航空機やガスタービンなどに使用しています。

その他には、ばね鋼、軸受鋼、快削鋼等があります。ばね鋼は各種ばねに使用されたり車両の板バネなどにも使用されます。軸受鋼はベアリング、ローラーなど耐摩耗性が要求される部分に使用されます。
また、硬度より加工しやすさに特化した快削鋼があります。快削鋼は削られやすさ(被削性)を向上させた特殊鋼となり製品や部品の仕上り精度が必要な部分に使用されます。

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