貯水槽

貯水槽とは

貯水槽 (英: Water tank) とは、水を貯めておく目的で設置されている施設です。

水道水が貯水されている場合は受水槽とも言います。主に水を用いる建物の1階や地下に設置されますが、建物の屋上に設置される場合もあり、高置水槽や高架水槽とも呼ばれています。

一般的に水を格納するための槽をコンクリートやステンレスのほか、FRP (繊維強化プラスチック) と呼ばれる樹脂で製造可能です。貯水槽には通気口、ドレン管、オーバーフロー管、点検用マンホール、水位検知の電極保持器が設置されています。

貯水槽の使用用途

貯水槽に飲料用を含む上水道用水を貯めて日常生活で使用する用途が一般的です。一般家庭では水道管の蛇口から直接水を使用できますが、同時刻に複数の箇所で多くの水を使用する施設や3階建て以上のマンションなどの建築物の場合、水道管からの供水だけでは水が不足するため貯水槽が必要です。

それ以外にも工場等の事業所に産業用の雑用水を供給し、火災時の消火活動に用いる消防水利として防火水槽に使用されます。

貯水槽は使用用途、設置場所、給水手法により、受水槽 (水道水用途) や高置水槽 (屋上設置) のほかに、給水用ポンプに接続される圧力水槽に大別されています。

貯水槽の原理

貯水槽に求められる性能として必要な容積 (一日の使用量の半分程度が目安) の確保はもちろん、震災などの災害に耐えて破壊や倒壊などを防ぐために水槽自体の耐震強度も非常に重要です。高置水槽などは受水槽から給水ポンプで屋上のタンクへ給水し、各階へ高低差で発生する水圧を利用して給水するシステムを用いています。

貯水槽の管理は設置されている建物の管理者が行い、飲料用などの生活用水に用いられるため、1年に1回以上の清掃義務があり、一般に清掃は専門業者に依頼します。1年に1度、給水設備 (主に貯水槽) の衛生状態やポンプなどの設備の検査を実施し、問題ないことを確認する義務があり、建物の管理者は注意が必要です。

貯水槽の種類

貯水槽は主に3種類あり、受水槽、高置水槽、圧力水槽に分類されます。

1. 受水槽

タンクで水道引き込み管の水道水を貯水します。設置場所には地下室、屋外、水槽室に架台置きなどがあり、建物の2階や3階に設置する場合やFRPタンクを地面に埋設する場合もあります。

2. 高置水槽

建物の屋上に設置され、受水槽に給水した水をポンプで給水します。高低差による圧力で給水栓に給水されます。一定量を貯蔵でき、急な使用量の増加や断水にも対応可能です。

3. 圧力水槽

給水ポンプの吐出管に直接つながっている密閉加圧タンクです。上階に水圧によって水道水を上げ、水圧が減ったら圧力スイッチでポンプが自動的に起動します。

貯水槽の構造

給水方式は受水槽方式と水道直結方式の2種類に分類可能です。受水槽方式は水道本管から水を水槽に一度溜めて給水する方式で、ポンプ直送方式、高置水槽方式、圧力タンク方式の3種類があります。水道直結方式は水道局の水道本管と直結している給水方式で、直結直圧方式と直結増圧方式の2種類に分けられます。

1. ポンプ直送方式

水道本管から引き込んだ水道水を受水槽に一度貯水し、直送ポンプユニットで加圧して各戸に給水する方式です。近年の新築高層マンションで多く採用されています。

2. 高置水槽方式

水道本管の水を受水槽で一度貯水し、屋上の高置水槽に揚水ポンプで揚水して重力で各戸に給水する方式です。タンクは地上階の受水槽と屋上の高置水槽に2か所必要です。

3. 圧力タンク方式

水道本管の水を受水槽で一度貯水し、加圧ポンプによる加圧で各戸に給水する方式です。ポンプ直送方式との違いは直送ポンプユニットの代わりに加圧ポンプを使用する点です。

貯水槽の選び方

最近では清掃作業や各種補修工事中の期間に建物内の断水を避けるため、隔壁を設けて2槽式とするタイプや貯水槽そのものを複数槽配置して連結した状態で運用するケースが多いです。

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