RFスイッチ

RFスイッチとは

RFスイッチとは、RF信号 (高周波信号) の伝送経路を切り替えるために利用されるスイッチです。

RF信号による通信では、通信規格や周波数帯域ごとに適切なフィルタリングや増幅を行う必要があります。複数のRF信号を取り扱える機器では、それぞれの通信規格や周波数帯域に適した信号経路を複数有しており、信号経路の切り替えにRFスイッチが必要です。信号によっては、送信経路と受信経路が異なっており、多数の切り替え経路を有するRFスイッチや、複数のRFスイッチが必要になる場合もあります。

高周波のRF信号を通過させるため、特性インピーダンスに整合します。切替方法として機械式と電子式があります。電子式では、半導体を用いたダイオードスイッチ、FETスイッチ、MEMSスイッチなどが主流です。

RFスイッチの使用用途

RFスイッチは以下のような用途で使用されます。

1. 携帯電話・無線LAN

携帯電話や無線LAN通信機器などにおいて、送信/受信信号の切り替えや、内蔵アンテナと外部アンテナの切り替えにRFスイッチが使用されます。

RFスイッチは、通信機器におけるRFフロントエンド・モジュールに組み込まれます。スマートフォンなどのモバイル機器では、高性能化に伴って無線帯域の高周波化が進んでおり、RFスイッチが必要です。RFスイッチを内蔵することで、5G・4G・Bluetooth・Wi-Fiなど、様々な高周波帯通信が可能となっています。

2. 衛星通信・衛星測位システム

RF信号は様々な衛星通信に利用されており、RFスイッチは信号の切り替えに不可欠です。

GPSやGNSSをはじめとする衛星測位システム・宇宙開発における衛星通信・船舶の航行システム・電話・データ・バックホール・放送・CATV・インターネットなど、さまざまな用途に使用されています。様々な衛星通信の送受信機やレーダーシステムに、MEMSスイッチなどの高性能RFスイッチが組み込まれています。

3. IoTデバイス

様々なIoTデバイスでは、無線・ワイヤレス通信が利用されています。IoTデバイスにおけるRFスイッチの役割は、RF信号の種類に応じて伝送経路を切り替えたり、送受信などを切り替えたりすることです。高性能なRFスイッチを備えることで、Bluetooth・Zigbee・Wi-Fiなど多様な接続規格に対応し、シームレスな通信を可能とします。

また民生品や産業用を問わず様々なIoTデバイスで利用されています。特に自動車では、カーナビ・ADAS (先進運転支援システム) ・車両緊急通報システム・車載情報機器・スマートキーなど、通信機能を持つ数多くの車載機器にRFスイッチが搭載されています。