液状シリコンゴム

液状シリコンゴムとは

液状シリコンゴムとは、液体またはペースト状の状態で提供される、熱硬化性の高分子材料です。

硬化システムは複数あり、最も一般的なのは、白金触媒を介した主剤と硬化剤の二液混合型です。このタイプは、室温で安定し、加熱により迅速に硬化する特性から、高速・高精度な成形を可能にします。

一方で、一液型や縮合反応型のように、空気中の水分と反応して硬化するタイプも存在します。これらはコーティングやシーリング剤として使用されることが多いです。

液状シリコンゴムは、耐熱性や耐寒性、耐候性に加え、生体適合性や電気絶縁性などの機能も備えており、精密で均一な品質が求められる部品に適しています。フラッシュ (バリ) の発生が少なく、自動化生産ラインとの相性も良いため、量産性やコスト効率に優れています。

液状シリコンゴムの使用用途

液状シリコンゴムの主な使用用途は下記となります。

1. 自動車・輸送機器

耐熱性・耐薬品性・耐久性に優れているため、エンジンルーム周辺のシール材やガスケット、電装部品の防水カバーに採用されています。極端な温度変化や油・燃料との接触がある環境でも性能を維持できるため、信頼性の高い部品素材として採用されています。また、柔軟性が高いため、コネクタの防水シールやセンサー部品の保護材としても使われています。

2. 医療・ヘルスケア

生体適合性が高く、医療業界で利用されています。カテーテルや注射器部品、シール材、人工呼吸器の部品など、人体に直接触れる製品に用いられています。また、無味無臭であるため、哺乳瓶の乳首や歯科器具、ウェアラブルデバイスの装着部材などにも利用されています。滅菌処理に耐えられる特性を持つため、繰り返し使用される医療部品でも使用することが可能です。

3. 電子機器

電子機器業界でも、液状シリコンゴムは欠かせない材料です。優れた電気絶縁性を持つため、コネクタカバー、キーパッド、スイッチカバー、LED照明の封止材などに使われています。特にLED分野では、透明性や耐熱性を活かして光学部品の保護や長寿命化に貢献しています。また、柔軟性と耐候性に優れるため、屋外機器の防水・防塵カバーなどにも利用されています。