エアミルク

エアミルクとは

エアミルクとは、セメントと水及び気泡剤を混ぜ合わせた特殊な材料です。

気泡剤によって内部に微細な気泡を有する点が特徴です。この気泡によって、ミルクのように滑らかな流動性を有しつつ、通常コンクリートやモルタルに比べて格段に軽量化されます。砂や砂利といった骨材を使用しないため材料分離が起きにくく、品質が安定しやすいという利点もあります。なお、材料に砂を含む場合はエアモルタルと呼びます。

配合を調整することで、水に近い状態から粘り気のある状態まで、硬さや流動性を自由に変更可能です。気泡量をコントロールすることで比重を細かく設定することもできます。そのため、使用場所に応じて最適な性質のモルタルを作り出せます。施工時にはポンプで圧送でき、狭い場所や複雑な空間にも隅々まで充填できます。

エアミルクの使用用途

エアミルクは以下のような用途で使用されます。

1. 裏込め・軽量盛土

エアミルクの軽量性を活かし、擁壁や橋台といった構造物の裏込めに広く用いられます。通常の土砂で埋め戻す場合、構造物には大きな土の圧力がかかりますが、エアミルクは構造物にかかる負担を大幅に軽減できます。これにより、構造物の安定性を高めたり、地盤が弱い場所での沈下を防いだりすることが可能です。

2. 地盤改良・空洞充填

地下にできた空洞や、トンネル工事などで生じた隙間を埋めるためにもエアミルクは活用されます。使われなくなった古い管路や廃坑などをそのままにしておくと、地盤沈下の原因となることがあります。そうした場所にエアミルクを注入することで地盤を安定させることが可能です。ポンプを使って地上から直接圧送できるため、人が立ち入ることが困難な場所でも安全かつ効率的に作業できます。

3. 断熱材・遮音材

エアミルク内部の気泡は空気の層であり、熱を伝えにくい性質があるため、優れた断熱性能を発揮します。この特性を活かして、屋根などに断熱材として施工されることがあります。軽量であるため建物自体への荷重の心配も少なく、施工も容易です。また、気泡は音を吸収する効果も持つため、遮音材として利用される場面もあります。