レーザートラッカー

レーザートラッカーとは

レーザートラッカーとは、測定対象にターゲット (測定球) と呼ばれるパーツを接触させ、ターゲットに向けて照射したレーザーの反射光を発光源で観測することにより対象物の座標値や形状を読み取る測定機です。

発光源と受光部が搭載された本体装置と、球形の反射器であるリフレクター、三脚、制御用PCより構成されています。レーザの発光源である本体機器がターゲットからの反射光を追いながら動くことから、”トラッカー”という名称が付けられています。三次元座標のデータはPCのソフトウェアに転送され、寸法値・角度・幾何公差などが算出される仕組みです。

一般的な接触式・非接触式の三次元測定機に比べて、より大きな物を測定することが可能です。レーザーが届く範囲であれば測定が可能なため、50m以上の距離範囲での測定も行うことができます。

レーザートラッカーの使用用途

1. 航空機・車両

レーザートラッカーは、大型の測定対象物に適しているため、航空機や宇宙産業の分野、自動車や新幹線用車輪台車などの測定に利用されています。

自動車エンジン部品や車体フレーム、航空機エンジンや胴体などの各種部品を対象に、製造工程における寸法管理・位置調整や、部品検査などのシーンで活用されています。航空機や各種車両の製造現場は、測定範囲が広いものの精密な寸法管理が必要なため、mm単位での高精度な測定を行うことができるレーザートラッカーが便利です。組み立て工程の効率向上や、最終製品の品質向上に貢献しています。

2. 大型構造物

レーザートラッカーを利用することにより、大規模構造物や、大型設備部品、大型切削加工品など、建築分野や製造業における様々な大型部材の精密測定が可能です。

橋や大型建築物などの大規模建造物の建設においては、精度の高いミリ単位の寸法管理が必要であり、レーザートラッカーが活用されています。その他、パラボラアンテナの位置調整、加速器施設など大規模施設の精密測定・位置調整に利用されています。測定範囲が広いため、レーザートラッカーを用いることにより、短時間で効率的に測定を行うことが可能です。

3. 精密機器・工業機械

レーザートラッカーは、各種精密機器の組み立てや、工業機械の測定にも活用されています。これらの用途では、僅かなズレが大きな影響を及ぼすため、正確な位置調整のためにレーザートラッカーを有効に利用することが可能です。

例えば、医療機器などの精密機器の部品組み立てでは、部品同士がずれないよう、レーザートラッカーを用いてリアルタイムで位置を確認しながら組み立て作業が進められます。その他、プラント関係における発電用タービンの定期点検や、一般的な製造業における製造設備の設置・組立、産業用ロボットのアームの位置精度の確認などにおいて利用することが可能です。