スクリュープレス脱水機とは
スクリュープレス脱水機とは、回転する円筒型のスクリューを用いて汚泥や廃棄物の脱水を行う機械です。
スクリュープレス脱水機は、円筒状のスクリーンとスクリュー羽根から構成されます。スクリュー羽根が回転して汚泥を搬送しながら圧搾・せん断して脱水する仕組みです。脱水汚泥出口に向かって汚泥の充填部分が狭くなっており、脱水が進むにつれて段々圧力が高くなっていきます。駆動部が少なく低速回転で動作するため、エネルギー消費が少なく、維持管理コストも低く抑えられます。
スクリュープレス脱水機はフィルターを使わないため、ベルトプレス方式などと比べて目詰まりの心配がありません。メンテナンスが容易で、汚泥の洗浄にかかる手間やコストも削減でき、排水処理の効率を高めることが可能です。
スクリュープレス脱水機の使用用途
1. 下水処理
スクリュープレス脱水機は、下水・産業廃水・し尿などの処理を目的として、下水処理場や産業廃棄物処理施設などで利用されている装置です。
下水処理場などでは微生物の力で排水中の有機物を分解する水処理技術が一般的ですが、一方で増えすぎた微生物が汚泥の発生原因となるという側面があります。下水処理の最終工程では、スクリュープレス脱水機を用いて汚泥を脱水し、汚泥のリサイクルや廃棄物処分を行いやすくしています。特に、スクリュープレス脱水機は、目詰まりしにくいことから、下水処理で発生する有機性汚泥の脱水に適しています。
2. 食品廃棄物
食品加工業では、食品の製造・調理の過程において加工残渣や調理くずなどの食品廃棄物が発生します。これらの廃棄物は、含まれる水分量が多いため焼却すると燃焼効率を下げる恐れがあり、温室効果ガスの発生の原因ともなります。スクリュープレス脱水機は、各種の野菜 (もやし、キャベツなど) 、果実、茶殻、焼酎原料残渣などの食品廃棄物を脱水して、大幅に減量・減容することが可能です。脱水によって再利用加工が容易になるため、搾りカスを畑の堆肥、牛や豚の飼料としてリサイクルすることもできるようになります。各種食品工場や搾汁工場、酒造メーカーなどで積極的に利用されています。
3. 農業・畜産・水産
農業・畜産・水産において、スクリュープレス脱水機は、家畜糞尿や植物性残渣 (稲わら、野菜くず) 、水産加工工程で発生する廃棄物などの脱水処理に利用されています。スクリュープレス脱水機を用いることで、汚水処理を効率化し、汚泥の悪臭対策を効果的に行うことが可能です。農業用水源の汚濁防止にも貢献します。
脱水後の処理水は、農業用水などとしてリサイクル可能です。また、脱水を行うことにより、脱水処理後の固形物は堆肥、発酵肥料の原料、燃料などに再利用することができるようになります。