ショア硬度計

ショア硬度計とは

ショア硬度計とは、「ショア硬さ」と呼ばれる硬さを測定するための測定器具です。

ショア硬さは、主に金属材料の硬さを表します。硬さは、物質が外部からの力に対して抵抗できる性質のことです。日常生活では鉄が硬く、ゴムが柔らかいなどの感覚で理解されます。ショア硬度計を使うことによって、物質の硬さが数値化され「HS+数値」のように表記されます。この数値が高いほど物質は硬いと言えます。

他の硬さ測定方法と比べて、測定時間も短く、測定器の持ち運びができる手軽さも特徴です。そのため、様々な製造現場で使用されています。

ショア硬度計の使用用途

ショア硬度計は、さまざまな業界で使用されます。例えば、自動車や航空機の部品を作る際に、適切な硬さの材料を選ぶために使用されます。また、靴やタイヤなどのゴム製品の品質を確認する際にも有用です。

そのほか、研究開発の分野で新しい材料を開発する際にも欠かせません。新しい素材の性能を評価するために、硬さを測定して他の材料と比較します。また、製品の品質管理や故障の原因を調査する際にも、ショア硬度計が役立ちます。

ただし、ヨーロッパではあまり使用されなくなっており、より正確な硬さを測定できるビッカース硬度計などの方が好まれる傾向にあります。一方で、日本のJIS規格では、ショア硬度をビッカース硬さに換算する方法が採用されています。このことが、日本でショア硬度計が製造現場で広く受け入れられている理由の1つです。

ショア硬度計の原理

ショア硬度計は、ある一定の高さからダイヤモンド製の半球を取り付けたハンマーを試料にぶつけ、衝突後に圧子が跳ね上がった高さを測定してショア硬さを決定します。跳ね上がりの高さが高いものほど、ショア硬度は高くなります。

ショア硬度計は、主に圧子の運動エネルギーの大きさを測定対象にしているため、試料が小さすぎると運動エネルギーをエネルギーの一部が振動エネルギーに消費されて正確な測定ができない場合があります。試料の質量が及ぼす影響は「質量効果」といい、ショア硬度計は質量効果の大きい測定方法です。

また、圧子を試料に対して垂直に落とす必要があることや、圧子に接する面は水平でなくてはならないなど、測定誤差となる要素が多いのはショア硬度計のデメリットです。しかし、このような特徴を理解したうえで、できる限り正確な測定ができるようになれば、硬さを手軽に測れるショア硬度計は、様々な現場で役に立つツールとなります。

ショア硬度計の種類

ショア硬度計には、C型とD型などのさまざまな種類があります。これらの種類はそれぞれ異なる特性を持ち、使用する状況に応じて適切な計測器を選ぶ必要があります。

1. C型

C型のショア硬度計は、内径が約6mmのガラス管を使用し、目盛りが付いています。ハンマーは先端が球状のダイヤモンド圧子であり、長さは約20mmです。ハンマーがガラス管内を落下し、跳ね上がった高さを目視で読み取ることができます。

C型のショア硬度計は、D型と比較してハンマーの質量が小さく、試料の質量による硬さの変動が少ないという特徴があります。ただし、読み取りは目視で行う必要があり、経験を積んだ技術が必要です。

2. D型

D型のショア硬度計では、鋼製の円筒形ハンマーにダイヤモンド圧子が取り付けられています。試料にハンマーが衝突し、跳ね上がってダイヤルゲージのスピンドルを押し上げ、ダイヤルゲージの指針がハンマーの跳ね上がった高さを示します。D型のショア硬度計は、取り扱いが簡単であり、C型に比べて利用率が非常に高いです。

ショア硬度計のその他情報

硬度の種類

1. 押し込み硬度
試料に圧子を押し込む際にできる窪みの深さや大きさを顕微鏡で測定し、硬さを測ります。ロックウェル硬度やビッカース硬度などが代表的なものです。

2. 反発硬度
圧子を試料に衝突させた際に、試料にできたくぼみの様子や反発後の圧子の運動を観察し、硬さを定量的に定義するものです。ショア硬度はこの反発硬さにあたります。

参考文献
https://monozukuri.sqcd-aid.com/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/75/10/75_10_1183/_pdf/-char/ja

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です