コレット

コレットとは

コレット

コレットとは、ドリルやフライス盤などの回転する工具に取り付けるカップ状の部品です。

シャフト状の工具を固定するために使用されますが、主にCNC旋盤や搬送用ローダーなどで使用されることが多いです。

本体のコレットチャックはチャックユニットとコレットに分かれており、実際に工作物を把握するのはコレットの方です。工作物を3点で把握する3つ爪のスクロールチャックと異なり、コレットは工作物のほぼ全周を覆うように把握します。

工具の先端部分にある刃や刃物を精度良く位置決めするため、非常に重要な役割を果たします。また、サイズが異なる工具にも対応できるよう、さまざまなサイズが用意されています。工具の精度や安定性を向上させるため、工作機械に欠かせない部品の一つです。

コレットの使用用途

コレットは、工作機械や加工に用いられる部品の1つです。以下はコレットの使用用途の一例です。

  • CNC旋盤などの工作機械
  • 搬送用ローダー
  • ドリルやフライス盤
  • ルーターや彫刻機

芯振れ精度で比較すると、全体的にコレットはスクロールチャックよりも優れた性能を持つため、振れや同軸度などの幾何公差が厳しい工作物の加工に適しています。

一方で、コレットはスクロールチャックよりも開き代が小さい傾向にあります。これにより、アンクランプ状態の口径が狭すぎて工作物の受け渡しが上手くできないという場合もあるため、自動運転で搬送機からの受け渡しがある時は、注意が必要です。

コレットの原理

基本的なコレットの形状は円筒状で、中心から放射線状にすり割りが入っています。チャックユニットに挿入すると外側のテーパ部がフランジに引っかかり、シリンダなどでその部分を押し込むことで口径部が開閉します。

コレットは把握による圧力が均等に分散されるため、工作物を傷つけにくいうえに強力に固定できます。アルミニウムなどの柔らかい材質や、パイプ材のように肉が薄いものでも把握できる点はメリットです。

コレットは工具を簡単に取り外すことができるため、異なるサイズのシャフト状工具に対応可能です。工具を取り外す際にはコレットを緩めて工具を引き抜きます。コレットは摩擦力を利用して、工具を正確に固定することができる優れた部品です。

ただし、注意すべきはコレットが消耗品であるということです。口径部は繰り返し開閉動作を行うことで徐々にスプリング性が無くなってきます。また、加工を繰り返すことで工作物と接する面も徐々に摩耗し、本来持つ芯振れ精度をオーバーします。加工精度を高く維持するためにも、一定の使用量を超えたら必ず交換が必要です。

コレットの種類

コレットにはさまざまな種類があります。以下はコレットの種類の一例です。

1. スタンダードコレット

最も一般的なコレットで、ドリルやフライス盤などの工具に使用されます。一般的にシャフト径に応じたサイズが用意されています。

2. ERコレット

精密な加工作業に使用される高精度のコレットです。ERとはElastic Rigidの略で、柔軟性と剛性のバランスを意味しています。加工機器のスピンドルに取り付けることが可能で、クランプナットを使用して簡単に交換することができるため、作業効率が向上します。

3. MTコレット

ボーリングマシンなどに使用されるモーリステーパー (MT) 規格の工具に適したコレットです。MTシャンクに合わせた内部の円錐形に工具を挿入し、コレットを締め込むことで工具を固定します。

4. ポータブルコレット

手持ちの電動工具に使用されるコレットです。電動ドリルやルーターなどに取り付けることができます。ポータブルコレットはサイズが異なる工具に対応できるよう、複数のサイズが用意されています。

5. スプリングコレット

本体にスプリングが内蔵されているコレットです。工具を強く締め付けず、弾性的な力で固定するために使用されます。工具を締め付けるためのハンドルがなく、工具を挿入するだけで簡単に固定することができます。

参考文献
http://www.okutani-cc.co.jp/homepage/html/collet_setsumei.htm
https://www.yukiwa.co.jp/products/sc/about_sc.php

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です