ウェッジロックワッシャーとは
ウェッジロックワッシャーとは、ボルトのゆるみを抑えるために用いられる特殊なワッシャーです。
一般的なワッシャーは締結部品の当たり面を安定させたり、表面の傷を防ぐ役割を担います。しかしながら、振動や衝撃が加わる環境下では、従来のワッシャーだけではボルトやナットが徐々に緩んでしまう場合があります。ウェッジロックワッシャーはくさび形状の当たり面を有し、激しい動きの中でもゆるみを最小限に抑えます。ワッシャー同士が噛み合うことで、ボルトやナットが回転しにくい状態を保つ点が特徴です。
従来のスプリングワッシャーと比較すると、摩耗や熱変形の影響を受けにくく、締結力が長期間持続しやすいと言われます。信頼性を要求される現場では、ボルトの緩みによる故障や事故を防ぐための手段として幅広く検討されています。
ウェッジロックワッシャーの使用用途
ウェッジロックワッシャーは、以下のような用途で使用されます。
1. 振動が発生する環境
振動が大きい機械設備や車両のボルト締結部で採用されるケースが多いです。発電装置や建設機械など、振動を繰り返す環境ではボルトやナットのゆるみが大きな課題となります。ウェッジロックワッシャーを組み込むことで、強い振動下でも安定した締結状態を維持でき、事故や故障のリスクを低減することが可能です。
2. 高速回転や頻繁な衝撃が加わる環境
高速回転や頻繁な衝撃が加わる装置でも、ウェッジロックワッシャーの有用性が注目されています。たとえば、輸送機器や動力を伝達する機械では、回転力がネジ部にかかることで締結がゆるむ可能性が高まります。カム面を利用したくさび作用によって回転を抑制し、高負荷がかかる部位においてもしっかりとボルトを固定できる点が利点です。
3. 高重量が加わる環境
橋梁や鉄塔などの大型構造物においても、ウェッジロックワッシャーが導入される場合があります。重量物を支える場面では、風や地形の影響で複雑な外力がかかり、わずかなゆるみが安全性に直結するため慎重な設計が求められます。締結力を長期間維持できる特性が評価され、メンテナンスの頻度を抑えつつ、構造物の安定性を高める手段として利用される場合も多いです。