キャピラリーレオメーター

キャピラリーレオメーターとは

キャピラリーレオメーターとは、流動性を持つ物質のせん断応力や粘性率の評価に用いられる測定装置です。

高温に加熱された試料も測定可能であり、常温では固体のプラスチック材料などの物性評価に用いられます。キャピラリーレオメーターでは、材料の粘度や圧力と温度を加えたときの流動性に関係するレオロジー物性の評価が可能です。

レオロジー物性とは、試料に外力を与えた際の反応に関する物性のことです。プラスチックなどの固体サンプルは、装置内で液体になるまで加熱されます。加熱されたサンプルはキャピラリと呼ばれる細い管に送られ、様々な速度で押し出されます。

この押し出した速度に対する溶融粘度を測定するのがキャピラリーレオメーターです。なお、キャピラリーは毛細管のことであり、細い通路を押し出すことによって物性を評価するため、キャピラリーレオメーターと呼ばれています。

キャピラリーレオメーターの使用用途

キャピラリーレオメーターは、熱可塑性のプラスチック材料の加工、射出整形における吐出条件の設定などに利用されます。一般的にプラスチックを加工するためには、高温で高い圧力を加える必要があります。

また、材質によっては、外から加える大きさに対して粘度が非線形に変化する (粘度が急激に下がったり、急激に上がる) 非ニュートン液体と呼ばれる性質を示すものがあるため、最適な加工、吐出条件を設計するには圧力、温度に対するサンプルの粘度を調べなければなりません。キャピラリーレオメーターは、プラスチックなどの高分子材料、複合材料に対する製造プロセスの最適な条件を設定するために使用されます。

キャピラリーレオメーターの原理

キャピラリーレオメーターの原理は、ちょうど注射器から液体を押し出す際の押し出し力と、押し出すスピードを測定するイメージのものです。熱可塑性のプラスチック材料を加熱し流動性を持たせた後に、シリンダーからキャピラリーダイという細い通路へと押し出します。

試料を押し出す際の圧力と、押出す速度から、試験温度における材料のせん断応力や粘性率を求めます。装置によってはダイスウェル測定、溶融聴力 (メルトテンション) 、伸長粘度測定なども可能です。

キャピラリーレオメーターの構造

キャピラリーレオメーターはシリンダの一端にキャピラリーダイと呼ばれる細い通路、シリンダーのもう一端に加熱された試料を押し出すプランジャがあります。試料が押し出される際のシリンダ内の圧力を測定する圧力計と、プランジャが試料を押し出す際の移動速度が計測できる構造になっています。

キャピラリーレオメーターの特徴

1. レオロジー評価に有効

キャピラリーレオメーターの特徴は、高温、大きな力 (高せん断) での測定が可能であるということです。装置によって上限は異なりますが、最大で400度以上まで加熱することが可能であるため、溶融させたプラスチックの粘性評価に有効です。また、せん断力も最大で1,000,000/秒と非常に高く、大きな力を加えたときのサンプルの流動性を調べることが可能となります。プラスチックの加工では吐出時に非常に大きな力が加わることも多いため、このような高せん断が加わったときのサンプルの挙動を調べることは重要です。

2. 高せん断が加わる製品の評価に有効

プラスチック材料以外にも、ケチャップやマヨネーズなどの食品や、ゲル状の化粧品なども容器から押し出されるときに大きなせん断が加わる製品の評価にも用いられます。キャピラリーレオメーターは室温でも利用可能な装置であり、サンプルに加えるせん断力の範囲が広く精度も高いので、流動性のある食品や、化粧品の容器からの吐出挙動を調べることも可能です。

また、キャピラリーレオメーターは、せん断速度を変えながら粘度を測定することも可能であるため、実際の測定において試料は、せん断速度に対する溶融粘度の曲線を描いて評価されます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です