厚板

厚板とは

厚板とは、主に鉄鋼材料において、板厚が6mm以上の平らな金属板材のことです。

建築構造物や産業機械、造船など、高い強度と耐久性が要求される分野で広く使用される基礎的な工業材料です。

厚板は、高温で圧延加工することで製造されます。製鋼工程で作られた鋼塊やスラブを加熱し、圧延機によって所定の厚さまで圧延します。圧延時の温度管理や冷却条件を制御することで、材料の機械的特性や結晶組織を調整することができます。また、用途に応じて様々な合金成分を添加することで、強度や耐食性、溶接性などの特性を向上させることが可能です。

厚板の品質管理では、表面検査や内部欠陥検査、機械的特性試験など、厳密な検査が行われます。特に、溶接構造物に使用される場合は、溶接性や強度特性が重要視され、材料規格に基づいた品質保証が必要です。また、切断や溶接、曲げ加工など、後工程での加工性も重要な品質特性となります。

厚板の使用用途

1. 建築構造物への適用

高層ビルや橋梁などの大型建造物の主要構造部材として使用されます。柱や梁、床材などに使用され、建物の荷重を支える重要な役割を果たすことが可能です。特に、地震や強風などの外力に対する耐力が要求される部位では、高強度の厚板が採用されます。

2. 産業機械の製造

プラント設備や工作機械、建設機械などの製造に使用され、フレームや構造部材、支持台など、高い強度と耐久性が必要な部位に使用します。また、摩耗や腐食が懸念される部位では、表面処理を施した特殊鋼厚板が採用されます。厚板は、溶接や機械加工による組立が容易で、複雑な形状の部品製作にも対応可能です。

3. 造船・海洋構造物

船舶の船体や海洋構造物の製造に広く使用されています。船底や船側外板、デッキなど、海水や波浪の影響を受ける部位には、耐食性に優れた厚板が採用され、タンカーやLNG船などの特殊船舶では、貨物の特性に応じた材質の厚板が採用されています。