青銅とは
青銅とは、銅を主成分として錫などの元素を添加した合金です。
ブロンズ (英: bronze) とも呼ばれます。人類最古の銅合金といわれ、錫を含まない合金 (アルミ青銅、ベリリウム青銅など) でも青銅の名称が通称となり、銅合金の代名詞的な用法で用いられる場合もあります。
銅と錫の比率や添加する元素によって、特徴が異なります。銅に錫、亜鉛、鉛を少量添加した砲金、リンを微量添加したリン青銅、錫と鉛をそれぞれ10%程度添加した鉛青銅などがよく知られています。
青銅の使用用途
青銅は人類最古の銅合金であり、用途は時代によって大きく異なります。歴史学では「青銅時代」のように、青銅の名称が正式に用いられています。
鉄の普及までは人が最も広く利用していた合金とも言われ、武器や貴金属製品として使用されてきました。鉄の普及後も、耐食性の高さと加工性の良さから、建造物や銅像、貨幣などの用途に広く用いられています。
さらにリンが添加されたリン青銅は強度、硬度、耐摩耗性、弾性などの性質が通常の青銅と比較して向上しており、電子部品から日用品に至るまで幅広い用途に用いられています。
また身近な青銅の使用例は、10円硬貨の原料です。この材料には銅が95%、錫が1〜2%、亜鉛が3〜4%の青銅が使用されています。そのほか、奈良の東大寺の大仏をはじめ、多種多様な銅像や建造物にも用いられています。
青銅の構造
青銅は銅と錫の合金であり、金属比率や添加金属種によって特徴が変化します。錫の含有量が少ないと赤銅色に、多いと黄金色に、一定以上添加されると白銀色に色調が変化します。
貨幣などでの使用を除く実用的な普通青銅は、錫の添加量を10%弱として、弾性や耐食性を有した圧延鍛造材として使用可能です。わずかに亜鉛や鉛を添加すると鋳造性が向上し、耐食性を有する機械部品鋳物などに用いられています。
特に脱酸剤として使用するリン剤を残して製造したリン青銅は、普通青銅よりも性質に優れており、強度や耐摩耗性は加工硬化にもよりますが、鋼鉄と同程度とも言われ、耐疲労性にも優れています。
弾性は純銅と同程度で、靭性は3倍にも達し、ばね性に優れた素材です。ほかにも導電性や熱伝導性が高く、非磁性や一定の耐食性を有するため、幅広い用途に用いられています。
青銅の選び方
1. 砲金
靭性に富んでおり、大砲の砲身に使われていました。対浸食性や耐摩耗性に優れ、鋳造が容易です。砲金のスクラップには水道メーターやバルブが知られています。一般的には銅が85%、錫が5%、亜鉛が5%、鉛が5%です。
2. 砲金削粉
砲金から出るダライ粉です。砲金粉や砲金ダライ粉とも呼ばれています。
3. 鉛青銅
鉛青銅の成分は、銅が77~81%、錫が9~11%、鉛が9~11%、ニッケルが1%以下です。銅に鉛がほとんど固溶しないため融点が低く、偏析や逆偏析が起こりやすいです。反面鋳造性や切削性に優れ、軸受材料に適しています。
4. リン青銅
溶解鋳造時にリンをわずかに添加して脱酸を行い、溶湯の流れも良くなるため鋳造性が向上します。強度やバネ特性に優れ、電気器具用の材料に利用可能です。一般的には錫が4~10%、リンが0.35%以下で残りが銅です。
青銅の種類
アルミニウム青銅、ニッケル青銅、マンガン青銅、シルジン青銅などは銅合金です。例えばアルミニウム青銅は、銅が77.0〜92.5%、アルミニウムが6.0〜12.0%、鉄が1.5〜6.0%、ニッケルが7.0%以下、マンガンが2.0%以下です。そのため錫と銅から構成される通常の青銅を、錫青銅と呼ぶ場合もあります。ただし最近開発されたクロム銅、チタン銅、ジルコニウム銅のような銅合金は、名称に銅を付けています。
当初ベリリウム銅は、ベリリウム青銅と呼ばれるときもありました。リン青銅は錫を含んでいるため、通常の意味の青銅です。