長繊維

長繊維とは

長繊維

長繊維とは、細く連続した非常に長い繊維のことです。

フィラメントとも呼ばれ、主に数百から数千m続く繊維のことを指します。

天然繊維では、生糸が唯一の長繊維の例ですが、化学繊維はレーヨンナイロンポリエステルなどが長繊維として作られています。ただし化学繊維は製造段階で長さを制御できるため、長繊維か短繊維か繊維ごとに分類はできません。例えばレーヨンのフィラメントは長繊維で、レーヨンのステープルは短繊維です。

長繊維の使用用途

天然繊維の中で唯一長繊維である生糸は、ネクタイなどの高級衣料に使用されています。それに対して化学繊維の場合にはナイロンやレーヨン、ポリエステルのようなあらゆる長繊維を得られます。

化学繊維は1本ずつ糸を巻き取ったモノフィラメントと、複数の糸をまとめたマルチフィラメントに分類可能です。モノフィラメントの太い長繊維は、主に工業用として釣糸や魚網、ブラシなどに使われ、細い長繊維は婦人用靴下に用いられています。マルチフィラメントの使用例としては衣料用が多いです。

長繊維の構造

天然繊維の長繊維である生糸は、一匹の蚕が変態の過程で作る繭から得られ、長さが1,000m以上にも及びます。生糸は天然の素材であり、柔らかく滑らかで吸湿や放湿、保温性などが高く、静電気が起こりにくいです。しかし虫に食われやすく摩擦にも弱いため、傷みやすいことがデメリットになります。

化学繊維の長繊維は、短繊維と比べて手触りが滑らかで、生地に光沢があります。繊維の長さは1,000m以上もあるため薄い生地を作れます。そのまま長繊維を用いると薄くて滑らかな生地になり、糸にボリューム感を出す加工も可能です。長繊維は1本1本の繊維が繋がっているため毛羽も少ないです。

化学繊維の場合には無限の長さを生み出せます。これは多数の細い孔が開いた口金から溶解した樹脂を繊維として押し出して形にするため、樹脂がある限り無限に作れるからです。

長繊維の種類

長繊維には下記のような種類があります。

1. シルク

天然繊維の中で唯一の長繊維で、長さが1,000m以上もある天然繊維はほかにありません。

2. コットン

綿花とも呼ばれます。耐久性が高く、肌触りや吸湿性が良く、下着やTシャツなどの直接肌に触れる製品によく用いられます。

一般的なコットンの繊維の長さはおよそ28mmです。28mm以上を長繊維綿と呼びます。繊維長が35mm以上の長繊維綿は超長綿と呼ばれ、光沢感があります。

3. レーヨン

レーヨンには長繊維のフィラメントと短繊維のステープルがあります。木材パルプが原料で成分はセルロースです。原料は植物であり、吸水性や吸湿性に優れています。

レーヨンは発色性が良く独特の光沢がありますが、吸湿すると強度が低下し、寸法安定性が低いためシワになりやすいです。

4. ポリエステル

短繊維のステープルと長繊維のフィラメントで、物性にはわずかに違いがありますが、引っ張り強さに長けた材料です。

ポリエステルは耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性、ガスバリア性などに優れています。水を吸いにくく、水を吸っても性能に変化が小さいため衣服などは型崩れしにくいです。シワになりにくいため綿と混ぜて使用される場合もあります。

長繊維の選び方

長繊維と短繊維は特徴が異なります。

例えば長繊維は最軽量糸の紡績が可能であり、強度高く軽量生地が作れます。また、膨らみがなく薄くて軽やかな生地が得られるため短繊維のような毛羽感が出にくいです。そのためフラットな表面感に向いています。

長繊維の無加工糸は表面がフラットで反射率が高いため、光沢感が強いです。糸の加工次第では光沢感を調整できます。

さらに、長繊維と短繊維のそれぞれの特徴を活かすために両方を組み合わせた糸で生地を作る方法もあります。長繊維の安定性や強度を維持しつつ、短繊維の風合いの良さも有するハイブリッドな生地も製造することができます。

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