ブリキ缶

ブリキ缶とは

ブリキ缶は、鉄にスズ (錫 ) をメッキで被覆した薄い低炭素鋼板で作られた缶のことです。

このスズのメッキによる被覆は鋼板を酸化から守り、錆びにくくする役割を果たします。英語ではtin canと呼ばれ、この名称が示す通り、スズが主要な特徴となっている缶です。なおブリキについては、「JIS G3303:2017 ぶりき及びぶりき原板」が規定されています。

ブリキ缶の起源は19世紀初頭に遡り、保存食を長期間安全に保管するために開発されました。当時の技術では食品を気密に保つ方法が限られていたため、ブリキ缶の登場は画期的でした。この技術革新は、特に軍隊や遠洋航海において重要な役割を果たしいます。

ブリキ缶の製造方法としては、低炭素鋼板をスズを使ったメッキで被覆し、必要な形状に加工してから接合部を溶接するプロセスが一般的です。薄い鋼板で作られた缶には、角形形状の18L缶、円形の断面形状をもつペール缶、ドラム缶などもあります。これらは形状によって種類分けされていますが、中にはブリキで作られたものもあります。

ブリキ缶の使用用途

ブリキ缶は、その堅牢性と耐腐食性から、さまざまな分野で利用されています。以下は代表的な使用用途です。

1. 食品保存

ブリキ缶は食品保存の分野で特に広く使われています。缶詰食品、飲料 (例えば炭酸飲料やジュース ) 、乳製品、さらには粉ミルクやペットフードに至るまで、多様な製品の包装材として活躍しています。食品を気密に保ち、外部からの酸素や微生物の侵入を防ぐことで、品質と安全性を長期間維持することが可能です。

2. 工業製品の包装

塗料、接着剤、溶剤など、揮発性のある工業製品や化学薬品もブリキ缶に収納されることが多いです。これらの製品は密閉性を必要とし、ブリキ缶の強度と気密性が適しています。

3. 装飾品やギフト包装

ブリキ缶は装飾品やギフトの包装材としても人気があります。クリスマスやバレンタインデーの贈り物に使われるカラフルな缶や、クッキーやチョコレートを収納する缶など、そのデザイン性が重視される用途も多く見られます。これらの缶は使用後も小物入れやインテリアとして再利用されることが一般的です。

4. 芸術やクラフト

ブリキ缶はDIYやクラフトの材料としても活用されています。加工がしやすい金属素材であるため、切断や曲げ加工が容易で、ランプシェードや小型の収納ケースなど、さまざまな形にリメイク可能です。