キャピラリーチューブ

キャピラリーチューブとはキャピラリーチューブ

キャピラリーチューブ (英: capillary tube) とは、内径が0.6〜2mm程度の細い毛細管のことです。

エアコンや冷蔵庫などに使用される冷凍サイクル用のキャピラリーチューブは、や鋼で作られた細い管で、冷媒の流れを制御する機器です。細い通路を冷媒が通ると、流れの抵抗により圧力が低下する絞り膨張と呼ばれる機能が働きます。この冷媒の圧力低下により、冷媒が蒸発し、周囲から熱を吸収します。

同じような役割を有するものに膨張弁があります。膨張弁の方が制御性に優れていますが、価格が高いのが難点です。なお、キャピラリーチューブと呼ばれる高精度のガラス毛細管は、X線回折や研究用に使われます。

キャピラリーチューブの使用用途

キャピラリーチューブは冷却装置として、主に小形冷凍機、 ルームエアコン、電気冷蔵庫などに使用されます。また、ガス機器、石油ファンヒーター、火災報知器、端子関連などにも有用です。主に運転条件が比較的安定している小形の冷凍サイクルに使われる場合が多いです。

同じエアコンでも自動車用のカーエアコンは、運転条件が広いので、一般に膨張弁が使われます。外気温度が低温から高温まで、エンジン駆動の圧縮機が低速から高速まであり、幅広い条件で性能を発揮させるのはキャピラリーチューブでは困難なためです。

キャピラリーチューブの原理

エアコンや冷蔵庫などの冷凍サイクルは、圧縮機、凝縮器、蒸発器、受液器、膨張機構などから構成されます。膨張機構に使用されるのが、膨張弁やキャピラリーチューブです。

圧縮機で冷媒ガスを圧縮し凝縮器で冷却すると、高圧の液冷媒になります。凝縮器はエアコンでは室外ユニットに、冷蔵庫ではキャビネットにあるものです。そして、高圧の液冷媒は、膨張弁やキャピラリーチューブにより減圧されて蒸発器に入ります。エアコンでは室内ユニットに、冷蔵庫では庫内の冷却器にあるのが蒸発器です。

一方、圧縮機が蒸発器の冷媒を吸引するので、蒸発器の圧力は低圧になり、液冷媒が蒸発してガスになります。蒸発器は冷媒と空気との間の熱交換器であり、冷媒の蒸発熱により、空気が冷却されます。膨張弁やキャピラリーチューブは、絞り効果により、蒸発器の圧力や冷媒流量を制御して、冷却能力を調整します。

キャピラリーチューブの種類

キャピラリーチューブには、細さや長さなど、多くの種類があります。キャピラリーチューブの接続には、銅フレア管を使用する場合と、ろー付けで接続する場合があります。銅フレア管を使用する際には、すでにキャピラリーチューブの両端にナットがついている両端ナット付きを選びます。

1. ストレートタイプ

ストレートキャピラリーチューブは、一定の内径であり、冷媒の流れが定常的である単純な冷凍システムで使用されます。

2. コイルタイプ

コイルタイプのキャピラリーチューブは、チューブをらせん状に巻いたもので、スペースがせまい場合に使われます。

3. マルチポートタイプ

マルチポートのキャピラリーチューブは、長さに沿って複数のポートがあり、複数の蒸発器又は圧縮機があるシステム用です。

4. ロープロファイルタイプ

ロープロファイルのキャピラリーチューブは、非常に薄いタイプで、スペースが限られている場合に使用されます。

5. 絶縁タイプ

キャピラリーチューブの外側に断熱層があり、冷媒がチューブを流れる際に温度を維持する効果があります。

キャピラリーチューブの選び方

キャピラリーチューブを選定する場合、最適な性能と効率を得るために、いくつかの検討事項があります

1. 冷媒の種類

キャピラリーチューブは、使用する冷媒用のサイズを選定する必要があります。

2. 冷媒の流量

キャピラリーチューブは、冷凍システムの必要冷媒流量を処理可能なサイズを選定します。

3. 使用圧力

キャピラリーチューブは、冷凍システムの作動圧力に対応したサイズにします。

4. 過熱度

蒸発器出口での冷媒の過熱度が、適切な値になるようなキャピラリーチューブのサイズを選定します。過熱度とは、冷媒の圧力に相当する飽和温度と実際の冷媒ガスの温度との差のことです。

蒸発器出口での過熱度が小さいと蒸発器で十分蒸発していますが、液冷媒の一部が圧縮機へ吸入されると圧縮機の故障の原因になります。また、過熱度が大きすぎると、蒸発器での蒸発機能が不十分で性能不足になるため注意が必要です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です