ガルバリウム鋼板とは
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム・亜鉛・シリコンでめっきされた金属鋼板のことです。
アルミ亜鉛合金めっき鋼板とも呼ばれます。ガルバリウム鋼板の建材は金属素材でありながら錆びにくく、耐久年数が長い特徴があります。
また、堅牢であり耐震性が高い点もメリットの一つです。太陽熱の日射熱反射率が高く、特に夏季には表面温度や屋内温度を抑制することが可能です。
ガルバリウム鋼板の使用用途
ガルバリウム鋼板は優れた耐久性・耐熱性・加工性から建材として広く使用されます。また、デザイン性も高いため、住宅としては外装材として利用されることも多いです。防食性が高い特徴から、主に建物の外壁や屋根などに用いられます。
ガルバリウム鋼板は、その他にも幅広い機械装置などに使用されます。以下はガルバリウム鋼板の使用箇所一例です。
- 農業用のパイプや海上輸送パイプ
- 高速道路の防音壁
- 腐食環境にさらされる各種産業施設や産業機器
- レンジや自動販売機などの電気機器
- 自動車
- 造船
ガルバリウム鋼板の優れた特性から、上記のように用途は多岐に渡ります。
ガルバリウム鋼板の特徴
ガルバリウム鋼板は圧延された鋼板の上からガルバリウムによるめっきを施した部材です。めっきは合金であることから、主に溶融によって行います。ガルバリウムの組成は、アルミニウムが55%、亜鉛が43.4%、そして、シリコンが1.6%です。
アルミニウムは長期耐久性と熱に強い特徴を持ちます。また、亜鉛はガルバニックアクションを発生させます。ガルバニックアクションとは、亜鉛が酸化することで酸化被膜を形成して防錆作用を持つことです。犠牲防食効果とも呼ばれます。
ガルバリウム鋼板は上記より、アルミニウムの耐久性・耐熱性と亜鉛による耐食性を有する鋼材となります。
ガルバリウム鋼板の種類
ガルバリウム鋼板は、一般ガルバリウム鋼板とスーパーガルバリウム鋼板に大別されます。一般ガルバリウム鋼板は、上記の通りの特徴を持つ鋼材です。建材から機械装置まで幅広く使用されます。
スーパーガルバリウム鋼板は、SGL鋼板とも呼ばれる次世代鋼板です。ガルバリウム鋼板の耐久性をさらに高めるために開発された鋼材で、めっきの中にマグネシウムを2%程度投入して製作されます。マグネシウムの作用によってめっきがさらに緻密な構造となり、高い耐食性を有します。
ガルバリウム鋼板のその他情報
1. ガルバリウム鋼板の使い方
ガルバリウム鋼板は、トタン屋根や鉄管と同様の設置・敷設します。ただし、ガルバリウム鋼板には必要なメンテナンスがあり、その一つが水洗です。雨水があたりにくい場所を重点的に水洗することによって、防錆効果を高めることができます。
また、道路が凍結しやすい山間部などでは、凍結防止のために塩化ナトリウムや塩化カルシウムが撒かれることがあります。これらの物質が屋根に付着すると錆びが進みやすくなる恐れがあります。そのため、凍結防止剤の散布後は、十分な水洗いが必要です。
2. ガルバリウム鋼板の歴史
ガルバリウム鋼板の開発される前には、トタンなどが外装材として使用されてきました。トタンとは溶融亜鉛によってめっきされた鋼材です。亜鉛によるガルバニックアクションによって耐食性を持つ素材であり、世界中で普及していました。
1960年代には工業化による公害などによる酸性雨が社会問題となりました。耐食性を有するトタンもPHが低い雨が降ると腐食するため、耐久年数が低くなってしまう問題が発生しました。この問題を背景に、ガルバリウム鋼材が登場しました。
ガルバリウム鋼板は1972年にアメリカの製鋼会社ベスレヘム・スチールによって開発されました。設置条件などにより異なるものの、ガルバリウム鋼板はトタンの3倍以上の耐久年数を有する鋼材です。そのため、トタンに代わり世界中に広く普及しました。
3. ガルバリウム鋼板の寿命
ガルバリウム鋼板はトタンと比較して高い耐用年数を有することで知られています。トタンによる外装材の寿命は10年~20年程度です。それに対して、ガルバリウム鋼板の寿命は25年~35年程度とされます。
メーカーや使用環境によっても実寿命は異なり、50年以上使用可能な場合もあります。また、近年ではスーパーガルバリウム鋼板(SGL鋼板)と呼ばれる鋼材も普及中です。SGL鋼板はガルバリウム鋼板からさらに耐久性を高めた部材で、30~50年の寿命が期待できるとされます。