ぶりき

ぶりきとは

ぶりき

ぶりきとは、低炭素鋼板に錫 (Sn) めっきを施したもののことです。

JIS (日本産業規格) G 3303(ぶりき及びぶりき原板)では、電気めっきぶりき (SPTE) と熱せきぶりき (SPTH) が規定されています。電気めっきぶりきは、電気すずめっきを施したぶりきです。熱せきぶりきは、溶融すずめっきを施したぶりきです。ぶりきは表面が美しく、溶接やハンダにも適していますが、錫めっきの表面は柔らかく、傷つきやすく汚れやすい欠点もあります。高湿度の環境では錆が発生することがあります。

ぶりきの使用用途

ぶりきは主に下記のような用途で使用されます。

1. 缶詰

トマト缶、コーン缶、豆缶などの食品用の缶詰が挙げられます。

2. 食品用の缶

クッキーなどを入れる缶、コーヒー豆や粉を保存する際に使用される缶、お茶を保管する際に使用される缶などが挙げられます。

3. 電気部品

スイッチ、端子台、コネクターなどが挙げられます。端子台とは、電気回路の接続部分で、複数の電線をまとめて接続するための装置です。通常、金属製の台座に、複数の接点部分 (端子) が付いており、各端子に複数の電線を接続できます。

4. 玩具

自転車、三輪車、鉄道模型、ミニカーなどが挙げられます。

5. 油保管用の缶

灯油缶、ガソリン缶、潤滑油缶などが挙げられます。

6. 雑貨・文具

ペンケース、ホッチキスなどが挙げられます。

ぶりきの性質

1. 錆びに強い

錫めっきは、優れた耐食性を持ち、錆の発生を防止する効果があります。錫は水に溶け出しにくく、錫めっきが剥がれない限り、鉄の酸化を防止できるのが特徴です。ただし、錫めっきが剥がれて鉄が水に触れると、鉄は錫よりもイオン化傾向が大きいため、鉄が水に溶け出し、鉄が錆びます。

イオン化傾向とは、元素がイオンとなるときにどの程度容易に電子を失うか、つまり、イオンを生成する際に電子を放出する傾向のことです。イオン化傾向が大きいほど、元素は電子を失いやすく、より強い陽イオンを生成する傾向があります。

2. 表面が美しい

錫めっきによって、鋼板表面に均一に錫がめっきされ、滑らかな表面に仕上がります。また錫は光をよく反射するため、美しく輝く仕上がる点が外観上の特徴です。

3. 溶接やはんだ付けに適している

ぶりきの錫めっき膜は、鉄と錫が混ざり合っているため、溶接やはんだ付けがしやすくなるのが特徴です。錫めっき層が鉄と錫の混合物であるため、溶接・はんだ付けした場合、金属同士が混ざり合ってつながり、強固な接合面を形成します。

はんだ付けとは、金属部品同士を接合する方法の一つで、はんだと呼ばれる合金を使用して行われます。はんだ (英: solder) は一般的には錫 (Sn) 、銅 (Cu) 、銀 (Ag) 、亜鉛 (Pb) などの金属を主成分としており、融点が低いため、加熱することで融解し、金属同士を接合できます。

はんだは、一般的に錫 (Sn) と鉛 (Pb) の合金です。しかし、現在は環境や健康への懸念から、鉛フリーはんだ (英: lead-free solder) が広く使用されています。鉛フリーはんだは、主に錫 (Sn) 、銀 (Ag) 、銅 (Cu) などの金属から作られる合金であり、鉛を含みません。

4. 耐食性がある

ぶりきは、低炭素鋼板に錫めっきを施した表面処理が施された材料です。錫めっき膜が鉄と錫の混合物となっており、鉄と錫が混ざり合うことで錫めっき層の強度が向上しています。

錫めっき層によって、ぶりきの表面は水分や酸素、酸性・アルカリ性などの化学物質に対して鉄よりも耐性が高くなります。特に、水分や酸素といった空気中に存在する化学物質による酸化や腐食を防ぎ、表面の錆びを防止できるのが特徴です。また、酸性・アルカリ性などの腐食性の高い化学物質にも耐性を持ち、ぶりきは耐久性に優れた材料です。

5. 固体潤滑材として機能する

ぶりきの錫めっき層は、滑りやすく表面を滑らかにし、鋼板の加工性を向上させます。特に、プレス加工などの大量生産には適しています。

ぶりきのその他情報

1. 化学物質に対する耐性

ぶりきの錫めっき層は、水分や酸素、酸性・アルカリ性などの化学物質に対して鉄よりも耐性が高いため、ぶりきは耐久性に優れた材料です。しかし、一部の化学物質に接触するとぶりきの表面に変色や劣化が生じることがあります。

例えば、塩酸や硝酸といった強い酸には、ぶりきの錫めっき層が耐えられない場合があることには注意が必要です。塩酸や硝酸にさらされると、錫めっき層が腐食し、表面に穴や剥がれが生じることがあります。また、アルカリ性の物質にさらされると、表面の錫めっき層が変色したり、膨張したりすることがあることにも注意が必要です。例えば、水酸化ナトリウムやアンモニア水といった強アルカリ性の物質は、ぶりきの錫めっき層に悪影響を与える可能性があります。

2. 錆の発生

錫めっきは優れた耐食性を持ち、錆の発生を防止する効果がありますが、高湿度の環境下での使用や錫めっき層が剥がれると鉄が水に触れることで錆が発生する可能性があります。

高湿度の環境下では表面に水分が付着しやすく、水分が付着すると表面にある錫めっき層に隙間が生じ、鉄が露出する可能性があります。鉄が露出すると錆の発生が促進され、錆が発生します。

また、錫めっき層が剥がれた場合にも、鉄が水に触れることで錆が発生する可能性がある点にも注意が必要です。錫めっき層が剥がれる原因は、ぶりきが衝撃や擦れにさらされた場合、またはぶりきを加工する際に表面が傷ついた場合などが挙げられます。錫めっき層が剥がれた場合、表面に隙間ができ、鉄が露出して水に触れると鉄が酸化し、錆が発生する可能性があります。

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