振動式粘度計

振動式粘度計とは

振動式粘度計は、液体の粘度を正確に測定するための装置です。

振動片を液体中で振動させ、その際に生じる粘性抵抗を検出することで粘度を算出する仕組みです。振動駆動や検出は磁力を利用した構造で行われ、装置内部に組み込まれた永久磁石と2つのコイル (駆動用と検出用) が正確な測定を実現しています。

振動式粘度計の優れた点は、プロセス用としてオンラインでの連続測定が可能なことです。測定結果は出力信号を通じて記録され、自動化システムと連携することで効率化を実現します。簡単な構造ながら外乱に影響されにくい耐久性を持ち、メンテナンスが容易で運用できる点も特長です。

振動式粘度計の使用用途

振動式粘度計の使用用途について、化学工業、食品業界、医薬品製造、環境分野、その他産業の5つに分けて解説します。

1. 化学工業

化学工業では、樹脂や塗料の製造過程で適切な粘度を維持することが製品の性能や仕上がりに影響を与えます。振動式粘度計は高精度でリアルタイムに粘度を測定できるため、安定した製品品質の確保が実現可能です。また耐腐食性に優れた材質で製作可能なため、腐食性の高い化学物質にも対応可能です。

2. 食品業界

食品製造ではソースやクリーム、飲料などの粘度が味や食感に影響します。振動式粘度計を用いることで製造ライン上で粘度を連続測定し、製品の一貫性を維持できます。

3. 医薬品製造

医薬品製造において、液体薬剤やジェル状製品の粘度は効果や使用感に影響します。振動式粘度計は高粘度から低粘度まで幅広いレンジをカバーし、正確な粘度測定を可能にします。

4. 環境分野

振動式粘度計は、活性汚泥や廃水処理プロセスにも利用されます。低粘度の限界が低いため、測定にも高い精度を発揮します。耐熱・耐圧・耐衝撃性能を備えたセンサーにより、過酷な環境下でも安定した動作が可能です。

5. その他産業

石油や潤滑油などの粘度測定、塗料やインクの製造工程管理、さらには研究室での試験など、多様な分野で使用されています。