触覚デバイス

触覚デバイスとは

触覚デバイスとは、力、振動 (動き) 、熱、静電気などを用いて、物体に触れているかのような触覚、触感を生み出すことのできる電子デバイスです。

仕組みには偏心モーター、リニアアクチュエータ、ソレノイドなどの電磁石や、圧電セラミック振動素子 (ピエゾセラミック) などの圧電素子を用いたもの、超音波ハプティクスなどが用いられます。スマートフォンなどのデジタルデバイスや、仮想空間内におけるリアルな触感体験を生み出すことに主に用いられる技術です。このような仮想的な触覚をリアルなものとして生み出すテクノロジーはハプティクス (英: haptics) と呼ばれており、触覚デバイスも「ハプティクスデバイス」と呼ばれる場合があります。

触覚デバイスの使用用途

触覚デバイスは、スマートフォンやゲーム機などの一般家庭で用いられるデバイスから、産業用まで、様々な分野で広く活用されています。VR (仮想現実) との融合など、新しい活用法が模索し続けられている製品でもあります。

1. デジタルデバイス・スイッチ

触覚デバイスが利用されている最も代表的な製品分野の例は、スマートフォンやタブレットなどに搭載されているタッチパネルです。タッチした際に触覚デバイスによって適切な振動を与えることで、物理的なボタンをタッチしたかのような感触を与えることが可能です。また、タッチパネル用のスタイラスペンへ触覚デバイスを搭載して、紙へ筆記しているかのようなリアルな感覚を与えている製品もあります。触覚デバイスを搭載したゲーム機では、よりリアルな没入体験を提供することが可能です。VR (仮想現実) においても、よりリアルな体験をユーザーに提供するために触覚デバイスとの融合が進められています。

それ以外では、車載エアコンやオーディオなどのタッチパネルスイッチなどにも使用されています。触覚デバイスを搭載することにより、画面・スイッチを見ることなく手探りで使用することが可能です。

2. 医療

触覚デバイスは、遠隔での医療行為に役立つことが期待されているデバイスです。医療において、触診を必要とする場面は多々あり、力覚と触覚を伝送することで遠隔からの触診が可能となると考えられます。また、低侵襲の手術ロボットにこうした触覚デバイスを搭載することで、術者が本来直接触れることができない部分の感覚を間接的に知覚しながら手術を行うことが可能です。その他、外科医の訓練用プログラムへの応用も考えられています。

3. 産業

産業用途では、産業用ロボットなどの装置・機器類を操作する際に、作業者に作業の感触を伝達する用途があります。これによって、より精度の高い作業が可能となり、ミスが少なくなる効果を期待することが可能です。また、作業者トレーニングに活用して、より実際の業務に近い技能訓練を行うことにも応用されています。