ダイヤモンド砥石とは
ダイヤモンド砥石とは、ダイヤモンドを砥粒として用いている砥石です。
ダイヤモンド砥石は、電着や焼結などの方法により、土台となる素材の表面にダイヤモンドが接着されています。ダイヤモンドは地球上で最も硬度の高い物質であるため、一般的な砥石よりもはるかに硬く、研磨力と平面保持力の高い砥石です。産業用途における様々な素材の研磨から、包丁研ぎ用の砥石まで、様々な用途で使用されています。
ダイヤモンド砥石の使用用途
1. 素材加工
ダイヤモンド砥石は、加工用途では様々な素材の研磨に使用されています。加工される主な素材は、下記の通りです。
- 半導体材料
- セラミックス
- 各種ガラス
- フェライト
- 石英
- 水晶
- 金属
- EDM加工面
また、研磨だけでなく、ブレード型の砥石では、硬脆材料の精密切断も可能です。
2. 刃物研ぎ
ダイヤモンド砥石は、包丁や大工道具などの刃物を研ぐ用途でも使用されています。下記は主な用途です。
- 鉋や、鑿、小刀の裏押し
- 大工道具一般の研ぎ
- 家庭用包丁の研ぎ
- ハイス (HSS鋼) など特に硬い鋼の刃物研ぎ
- 和包丁の裏押し
刃物の他では、砥石の面直しにも使用されます。ダイヤモンド砥石は平面保持力が高いため、ダイヤモンド砥石で面直しをすると砥石の平面の精度が高くなるという利点があります。
ダイヤモンド砥石の原理
1. 概要
ダイヤモンド砥石は、研削作用のあるダイヤ砥粒の層と土台部分から構成されます。
セラミック砥石などと比較したダイヤモンド砥石の特徴には下記のようなものがあります。
- ダイヤモンド砥粒の硬度が高いため、研削力が高い
- 研削力の高さゆえに、作業時間が短い
- 水に浸さなくてよい
- 割れない
- 修正しなくてよい
- 周囲が汚れにくい
2. 電着と焼結
ダイヤモンドの砥粒を土台部分に固定する方法には、電着と焼結があります。
電着とは電気めっきの手法を用いてダイヤモンド粒子を金属の基材上に固定化する技術です。具体的には、液槽内に懸濁された金属製のシャンクに電気を通し、ダイヤモンド粒子を表面に付着させます。
焼結は、ダイヤモンド砥粒と樹脂などの結合材を高温高圧で焼き固めて製造する手法です。土台にはアルミなどが使用されます。ダイヤモンドの層の厚さは1〜3㎜と、電着よりも厚くなることが特徴です。
ダイヤモンド砥石の種類
1. 電着ダイヤモンド砥石
電着ダイヤモンド砥石は、ダイヤモンド砥粒が土台から高くの突き出しているという特徴があります。焼結ダイヤモンド砥石に比べて研磨力が高く作業性に優れています。また、比較的ダイヤモンド砥石の中では安価です。
砥石の平面修正、鎬面の研ぎ、裏押などに特に適している砥石です。ただし、研削力が高すぎるゆえに研ぎ傷が深く付きやすいことや、使用中に剥がれやすい、また層が薄いため研いでメッキ層がなくなりやすいなどのデメリットもあります。
2. 焼結ダイヤモンド砥石
焼結の場合はダイヤ砥層を厚く作ることができ、表面が削れても次々にダイヤモンド砥粒が現れるという特徴があります。そのため、電着ダイヤモンド砥石よりも寿命が長く安定して使用することが可能です。また荒砥石から仕上げ砥石まで、電着よりも、幅広い番手の種類があります。
寿命が長い一方で、製造コストが高いため電着よりも高価になる傾向があります。研磨力は電着よりやや劣るものの、その分研ぎ傷は浅くなります。尚、一般的な砥石と同じように、砥粒と砥粒の間に削りくずが詰まって固着してしまう“目詰まり”の状態が起こる場合があります。そのため、表面を削ってメンテナンスすることが必要です。
3. 番手・形状
焼結ダイヤモンド砥石の主な番手種類は下記の通りです。
- 荒砥石: #200、#400、#600
- 中砥石 : #800、#1000
- 仕上砥石: #3000
- 超仕上砥石: #6000
また、ダイヤモンド砥石には用途に様々な形状の製品があります。角砥石のほか、アルミナ繊維を利用した繊維砥石や、ディスク状の砥石などもあります。用途に合った製品を選択することが可能です。