プレートファンとは
プレートファンとは、プレート構造からなる羽根車を備えている送風機、もしくはその羽根車のことです。
羽根車の回転によって低圧から高圧を可能とし、様々な物を移動させます。ラジアルファンの一種であり、構造がシンプルで汎用性と強度が高いです。広く開放的な構造になっており粉塵の付着が少ないため、付着性及び摩耗性のダストを含むガスなど、固形物の空気輸送に利用される場合もあります。
プレートファンの使用用途
1. 概要
プレートファンは、空気の循環・換気、及び樹脂ペレットや粉体、微小チップなどの輸送を目的として使用されます。また、構造が簡単で羽根車の強度も高いことから、高温・高圧ガスなどにも使用が可能です。
プレートファンは羽根にかかる圧力負荷が、他の遠心ファンよりも低いことが特徴の一つです。工場や倉庫、商業施設などで幅広く利用されます。
主な使用用途には下記のようなものがあります。
- プラント設備のラインにおける室内の湿度や温度の調節、不要なガスや臭いの排出、空気の清浄化
- 商業施設などにおける空気の清浄化
- 火力発電所における微粉炭輸送
- セメント工場における排・送風
- 粉塵や異物を含んだ空気輸送 (製材粉体くず、繊維くず、木工くず、製紙くずなど)
- 固形物の空気輸送
- 高温ガスの排気・輸送
2. 通過・排出できる主な固形物
プレートファンは様々な固形物の空気輸送に使用されます。通過可能な主な固形物には下記のようなものがあります。
- 土砂
- フライアッシュ
- 木材チップ
- 土砂の付着したプラスチックシート
- 洗浄前のペットボトルの粉砕物
- 製本機ラインの各種紙類のロス (スリッターロス、打ち抜きロス)
- ダンボール耳の切断後の短冊
- 樹脂フィルム製造ラインのエッジロスやスリッターロス
- 粉砕プラスチック、ペレット
プレートファンの原理
1. 構造・動作機構
プレートファンはラジアルファン (羽根の向きが径方向よりやや前向きで形状が円弧状のファン) の一種です。羽根の出口角度はほぼ90°です。羽根の形状には、直線状と曲線状とがあります。羽根は半径方向に6枚〜12枚程度配置されており、シンプルな構造であることから羽根車の強度が高いです。応用用途が広いことも特徴の1つです。
風の方向は、シロッコファンやターボファンと同様に、吸気に対して90度横向きの方向です。軸方向から吸気した風を、側面から放射状に吐き出します。シロッコファンやターボファンと比べて、静圧は比較的低い傾向にあります。
使用限界温度は、概ね350℃〜1,100℃程度です。微小の浮遊物質や粉塵を取り除くためのフィルター、粉塵のフード排気、バグフィルター、サイクロンコレクターと組み合わせて使用される場合もあります。
2. 圧力特性
プレートファンの圧力特性は比較的フラットです。抵抗の変化に対して大きく風量が変化します。動力特性は、風量にほぼ比例して増加します。効率は、オープン型 (側板がない) の場合で50%〜60%、クローズド型 (側板がある) で55%〜65%程度です。
3. メリット/デメリット
プレートファンの主なメリットは、羽根車の構造がシンプルで粉塵や粉体にも対応しており、掃除が容易であることです。
その一方、他のファンに比べて効率は高くなく、比較的騒音が大きいことが弱点です。
プレートファンの種類
プレートファンには様々な製品があり、用途に応じて使い分けられます。風量は小さいもので最低12.9m3/min程度から、強力なものでは最高で150m3/min程度まで様々なバリエーションがあります。
主な製品種類は、中圧小型プレートファン、高圧小型プレートファン、高効率・低騒音プレートファン、高圧・高耐久プレートファン、耐摩耗プレートファンなどの種類です。高圧小型プレートファンは、中圧小型プレートファンより更に静風圧が求められる場合に使用されます。
ファン外側の形状には、主板と側板を有するクローズタイプ、側板の無い主板のみのオープンタイプ、主板も側板も取り払ったブレードだけで回転するパッドルタイプなどがあります。