線はんだ

線はんだとは

線はんだとは、細長い線状に加工されたはんだです。

直径が数ミリメートルの細いワイヤー状になっており、巻き取られた状態で販売されていることが多いです。はんだの線にはフラックスが内蔵されていることが多く、はんだ付けの際に酸化を防ぎ、接続をスムーズにする役割を果たします。近年では環境への配慮から、鉛フリーはんだを使用されることが増えています。

線はんだは細くて柔軟性があるため、狭い場所や精密な作業に適しています。電子部品の接続や修理作業での使用が容易です。 巻線として販売されているため、必要な長さだけを切り取って使うことができ、無駄が少ない点が特徴です。

線はんだの使用用途

線はんだは以下のような用途で使用されます。

1. 電子部品組立

線はんだは電子機器の製造プロセスに使用されます。具体的にはプリント基板 (PCB) への部品取り付けに使用されます。PCBには電子部品を固定するための金属パッドがあり、部品のリードをこれらのパッドに差し込んだ後、線はんだで溶かして接続します。これにより、部品と基板間の電気的接続が確立される仕組みです。

2. 電子部品メンテナンス

電子機器が故障した場合、線はんだは修理作業において使用されることが多いです。例えば、回路が断線したり接触不良が発生した場合、線はんだを使って断線部分を再接続したり、接触不良を改善したりします。また、故障した部品を基板から取り外し、新しい部品を取り付ける際にも線はんだを使用します。

3. DIY・試作

DIYや電子デバイスの試作には、線はんだが大いに役立ちます。自分で電子回路を設計し、組み立てる際に、線はんだを使って部品を接続することが多いです。回路の動作を確認し、必要に応じて修正や改善ができます。

線はんだの原理

線はんだの成分は、主に金属合金から成り立っています。一般的には鉛-スズ (Pb-Sn) 合金や鉛フリーのスズ-銅 (Sn-Cu) 合金が使用されます。また、酸化物を除去しつつ金属表面を清潔に保つために、フラックスと呼ばれる促進剤を内蔵している製品が多いです。

はんだ付けのプロセスは、まずはんだごてなどの工具で接続部分と部品を加熱します。はんだの融点は約180°C〜250°Cで、部品のリードや基板のパッドを加熱することで、はんだが溶け始めます。液体のはんだは流動性があり、接続部分に均等に広がります。

その後、液体のはんだが部品のリードや基板のパッドに浸透し、完全に接触します。この状態で冷却されると、はんだが固化します。固化後のはんだが部品のリードと基板のパッドを電気的に接続し、機械的にも固定する仕組みです。

線はんだの選び方

線はんだを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 合金組成

合金組成は線はんだの性能と適用範囲に直接関わる重要な要素です。はんだには、伝統的に使用されてきた鉛-スズ合金や、環境や健康への配慮から選ばれる鉛フリー合金があります。

鉛-スズ合金は60%スズと40%鉛などの比率で使用されます。比較的低い融点で流動性が良く、はんだ付けが容易です。しかしながら、鉛は健康や環境に悪影響を及ぼすため、使用される機会は減少しています。

鉛フリー合金はスズと銅、スズと銀を組み合わせたSn-CuやSn-Ag-Cu,などが使用されます。耐熱性や耐腐食性に優れていますが、鉛含有はんだよりも融点が高いため、扱いにはやや注意が必要です。

2. フラックス

フラックスははんだ付けの際に金属表面の酸化を防ぎ、はんだの流れをスムーズにする役割を果たします。フラックスにはロジン系や酸性などの種類があり、用途に応じて適切に選定します。フラックスの量も適切であることが重要で、過剰に含まれると残留物が多くなり、後処理が大変になる可能性があります。

3. 線径

線はんだの直径は、はんだ付けの精度や作業の効率に影響を与えます。0.3mm〜0.8mm程度の細いはんだは、精密なはんだ付け作業や小さな部品に適しています。1.0mm以上の太いはんだは大きな部品や高出力の接続に向いており、一度の供給で多くのはんだが流れやすく、効率的な作業が可能です。