監修:株式会社システムクリエイト
卓上射出成形機とは
卓上射出成形機とは、卓上における小型の射出成形機です。
射出成形とは熱したプラスチックを射出し、型に流し込んで所定の形状に成形する加工方法です。高い精度で複雑な形状を作ることが可能な点が特徴です。
卓上射出成形機は卓上に置くことができるほど小型であり、一般家庭や小規模な工場などで利用されます。主にプロトタイプ作製や小規模な製品生産に使用されることが多いです。大規模な射出成形機に比べて、卓上射出成形機は投資コストが低い傾向があります。小規模なプロジェクトや製品開発において、初期投資を最小限に抑えることが可能です。
図1. 卓上射出成形機
卓上射出成形機の使用用途
卓上射出成形機は以下のような用途で使用されることがあります。
1. 製品開発
製品のデザインや機能を実際の物体として確認するために、射出成形機は重要な役割を果たします。CADソフトウェアで設計したモデルを基に、プラスチック素材を溶かして型に注入して試作品を製造します。これにより、デザインの問題や機能の不具合を早期に発見し、修正することが可能です。
2. 小規模加工業
射出成形機は小規模な生産ラインやスタートアップ企業にとって理想的な製造ツールです。市場への投入を検討する前に、少量から中量の製品を生産することができます。このような小規模生産により、需要の評価や市場の反応をテストし、製品を改良するためのフィードバックを得ることが可能です。
3. 歯科・医療
歯科や医療分野では、患者に合わせた特注の製品が必要です。射出成形機は歯科用の補綴材料や医療機器の部品など、個々の患者の特定のニーズに対応するための製品を製造するために使用されます。これにより、患者への適合性や快適性を向上させることができます。
また、カスタムデバイスの製造プロセスは高度な精度と品質管理を必要とします。射出成形技術はこれらの要求に応えるのに有利です。
4. 玩具
玩具メーカーや玩具の愛好家において、射出成形機を使用して自分のデザインしたキャラクターやフィギュアを製造する場合があります。射出成形によるプラスチック製品は耐久性があり、細部まで再現することができるため、高品質な玩具を製造することが可能です。また、射出成形技術は大量生産に向いているため、需要があれば一度の製造で多くの製品を作ることができます。
卓上射出成形機の原理
卓上射出成形機は射出成形というプラスチック成形プロセスを使用した製品です。まず、プラスチック原料を粒状の形状に加工し、射出成形機のホッパーに投入します。ホッパー内で原料は加熱され、溶融されます。
溶融されたプラスチックはスクリュー機構によってホッパーから圧縮され、射出ノズルを通じて金型内に射出されます。射出されたプラスチックは金型内の空洞に流れ込み、所定の形状に充填されます。射出されたプラスチックは金型内で冷却されて固化し、金型の形状に変形する仕組みです。
冷却が完了した後、金型が開放されます。金型が開放されると成形されたプラスチック製品が取り出されます。高価な製品の場合は、この工程で取り出し機構やロボットアームなどが使用されることも多いです。成形された製品は取り出し部分によって取り外され、必要に応じて研磨などの仕上げ処理が行われます。余分な素材を除去し、製品の最終的な形状を整えます。
図2. 卓上射出成形機の原理
卓上射出成形機の選び方
卓上射出成形機を選ぶ際は、以下のような要素を考慮することが重要です。
1. 対応素材
射出成形機が対応する素材は重要です。ポリプロピレンやポリエチレンまたはアクリルなど、様々な種類の素材を扱える機種が望ましいです。また、製造製品によっては耐熱素材に対応できるかも確認する必要があります。
2. サイズ
卓上射出成形機はコンパクトなサイズであることが特徴です。ただし、本体の大きさによって加工可能なサイズも異なります。製作する製品のサイズや形状に応じて、適切な射出成形機を選定します。
3. 加工速度
加工速度は生産性に直結します。製品の需要に合わせて迅速に生産するためには、高速で効率的な射出成形機を選択することが重要です。加工速度は機械の仕様書や性能指標から確認できます。
4. 制御システム
制御システムは射出成形プロセスを管理し、操作を行うための重要な要素です。使いやすいインターフェースや高度な制御機能を持つ射出成形機を選ぶことで、効率的な操作と生産が可能になります。
本記事は卓上射出成形機を製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。
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