ブラスト洗浄機

ブラスト洗浄機とは

ブラスト洗浄機

ブラスト洗浄機 (英: Blast washer) とは、一般的にドライアイス粒子を圧縮、ノズルを通して噴出させ、対象物の付着物を除去して洗浄する装置です。

ブラスト洗浄機のドライアイスは、固形状で対象物表面の付着物に衝突した後、気体になるため、廃棄物が出ません。環境に優しく環境保全や労働衛生面の点でも好ましいとされ、従来の塩素系洗浄や炭素系洗浄の代わりに利用されています。

また、洗浄に使用されるドライアイスは柔らかい素材で研磨力が低いため、対象物に傷がつきにくいのもメリットです。

ブラスト洗浄機の使用用途

ブラスト洗浄機は広い分野で使用されています。特に手や器具が触れられない細かい場所などの洗浄が可能なため、製造工場で使用される場合が多いです。

その他、自動車製造やタイヤ、鋳造、化学、機械、プラスチック製造、船舶、食品、建物、道路、航空機製造なども用途として挙げられます。

  • 離型剤、溶接スパッタ、塗料洗浄
  • タイヤ金型からの残留加硫物洗浄
  • 接合剤洗浄
  • 機器の内部洗浄
  • 生産ラインの洗浄
  • 金型の洗浄、工具の洗浄
  • 船体塗料除去、サビ除去、エンジン室洗浄
  • 食品、食肉処理場など各種生産ラインの洗浄
  • 建物の壁、道路、タイル、駐車場などの洗浄
  • 航空機部品、着陸装置、エンジン、電気部品、滑走路などの洗浄

ブラスト洗浄機の原理

ブラスト洗浄機では、ドライアイスを対象物に吹き付け、−79℃のドライアイスが対象物表面の付着物を冷却する際に発生するサーマルショック効果と、昇華時に体積が膨らむドライアイスの性質を利用しています。具体的には、ドライアイスブラストが対象物に強く衝突すると、付着物が熱収縮 (サーマルショック) を起こして細かいクラックが生じます。

つまり、剥離しやすい状態です。その後、ドライアイスが炭酸ガスに昇華する際に膨張するため、付着物に圧がかかって剥離されます。ドライアイスブラストを強く対象物に衝突させると、対象物が熱収縮 (サーマルショック) を起こし、剥離しやすい状態になります。その後、ドライアイスが炭酸ガスに昇華すると、かさばることで汚染物が剥離されます。

その際に使うドライアイスは、パウダー状やペレット状などです。パウダー状のドライアイスは、付着物の厚みが薄く、対象物の形状が複雑で精密なものに向いていて、半導体設備やクリーンルームの洗浄などに好適です。ペレット状のドライアイスは、付着物の厚みが厚く汚染度が高い場所、広い範囲の洗浄や大型設備などに適していて、錆除去や金型設備などに使用されます。

ブラスト洗浄機の種類

ブラスト洗浄機でドライアイスを噴出するノズルとしては、通常のノズルやサイクロンノズルがあります。サイクロンノズルを使用すれば、ブラストが螺旋状に回転しながら噴射されるため、その洗浄効果は非常に高いものです。

また、ブラスト洗浄機は、ドライアイスタンクや本体容量の大きさによって軽いハンディ型から大容量のガンホース型まで多く種類があります。

ブラスト洗浄機のその他情報

ドライアイスブラスト洗浄のデメリット

炭酸ガスやドライアイスを使用するブラスト洗浄は、母材を傷めずに綺麗に仕上げられるメリットです。しかし、同時にいくつかのデメリットもあります。ドライアイスブラスト洗浄は、エポキシ系染料やメッキ、母材自体の変色など、母材と強固に結合したものは除去できません。

また、珪砂などの他のメディアを使用したブラストと同様、ドライアイスが届かない空間の汚れは洗浄できない点もデメリットです。ただし、ドライアイスを細かく粉砕しながら噴射するパウダー洗浄では、比較的小さな空間や狭い隙間にもドライアイスが届くため、用途に応じての使い分けが重要です。

また、対象物が急激に冷却されて結露が発生する場合があります。そのため、ドライアイスブラストは耐水性が低い対象物には基本的に使用できません。

2. ドライアイスブラストの怪我や酸欠の危険性

ドライアイスは珪砂などの他のメディアと比較して軟質ではありますが、人の皮膚と比べれば当然のことながら硬質です。人の体に直接噴射すると大怪我をするため、防護服の着用はもちろん、装置の誤作動や誤操作がないようにする、周囲へ注意喚起するのが大切です。

また、ドライアイスは気化すると二酸化炭素になるため、作業は喚起の良い空間で行う必要があります。作業環境上、密閉した空間でやむを得ず使用する際には、充分に換気をしながら酸素マスクを着けて作業します。

3. ドライアイスの入手と保管

ドライアイスを自社にて用意する場合は、専用の製造装置が必要です。また、ドライアイス自体は購入する場合でも−78.5℃以下で保管可能な保管設備が必要であり、ドライアイスを用いたブラスト洗浄機を利用するには装置自体以外のコストが掛かるデメリットがあります。 

4. 重曹ブラストとの比較

ドライアイスを利用したブラスト洗浄と同様に、軟質で洗浄効果の高いメディアである重曹 (重炭酸ソーダ) 利用する重曹ブラストの使用も拡大しています。重曹は家庭や医療現場でも広く利用されておりドライアイスと比較して入手しやすく、保管も容易なためコストをおさえられるのがメリットです。

珪砂などと比較して軟質ではあるものの、研磨作用が高い上に水溶性であるためドライ・ウェット両方に適用可能で、汎用性が高い点もメリットの1つです。環境への影響もないので、使用後はそのまま水道には流すこともできます。

一方、デメリットとしては、弱アルカリ性なので腐食が進行している金属製のパーツには使用できない点が挙げられます。 

参考文献
https://www.awci.co.jp/products/blast_2.html
https://www.kyodo-inc.co.jp/electronics/super-blast/index.html
http://www.greentech-japan.co.jp/whatis/principle.html
https://www.abbs.jp/dry_ice/faq.html
https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/513/

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