変圧器ブッシングとは
変圧器ブッシングとは、変圧器の絶縁物を使用して電線を支持しつつ電気を供給する部品です。
電線は重力の影響を受けるため支持する必要がありますが、金属部品で支持すると地絡・短絡してしまいます。したがって、碍子や樹脂などの絶縁材料で堅牢に支えることが必要です。変圧器ブッシングは電線を支持しつつ絶縁し、電気エネルギーを伝送する役割を果たします。
絶縁性能が高く、変圧器内の高圧側・低電圧側の両方を絶縁することが可能です。一般的には高圧側の方に、離隔距離を大きく取れるブッシングを使用します。
適切な保守と点検が行われれば、変圧器ブッシングは長寿命で信頼性が高い部品です。電力インフラの安定性と供給信頼性向上に貢献します。
変圧器ブッシングの使用用途
変圧器ブッシングは変圧器や周辺機器に対して使用されます。周辺機器にはバスダクトや混触防止板などが含まれます。使用場面としては、電力配電事業所や受変電所です。
1. 電力配電事業所
電力配電事業所は電力線を分岐させて、電力を分配する施設です。変圧器を有していることが多く、高電圧の電線を低電圧へ変換して取扱いを容易にしています。変圧器ブッシングは高圧送電線と低圧配電線の接続点で使用され、電力の伝送と分配における絶縁を提供します。
2. 受変電所
受変電所は送電線からの高電圧電力を受け取り、低圧電力に変換して一般需要者へ供給する役割を果たす施設です。 変圧器ブッシングは変圧器の絶縁性能を確保し、変圧器の地絡・短絡を防止します。これにより、受変電所の安全性と信頼性を向上させることが可能です。
変圧器ブッシングの原理
変圧器ブッシングは電線を絶縁しつつ、電力の伝送を効率的かつ安全に行うための部品です。構造としては絶縁体と導体の組み合わせに基づいています。
変圧器ブッシングの最も重要な機能は、充電部分を完全に絶縁することです。これにより、電気の地絡や短絡を防ぎます。絶縁材料によって絶縁性を確保しますが、一般的な絶縁材料にはセラミックやガラス、ポリマー(プラスチック)が使用されます。変圧器ブッシングには、高電圧側から低電圧側へ電気エネルギーを伝送するための導体が内部に配置されています。
これらの導体は銅やアルミニウムなどの導電性の高い材料で作られており、電流を確実に伝送することが可能です。変圧器ブッシングは変圧器本体または受変電所の機器に取り付けられ、電力伝送経路を確立します。高電圧側は送電線や変圧器と接続され、低電圧側は配電システムに接続されることが多いです。
変圧器ブッシングの選び方
変圧器ブッシングを選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮することが必要です。以下は変圧器ブッシングの選定要素です。
1. 使用電圧
変圧器ブッシングを接続する電線の電圧レベルに合わせて選定します。仕様上の電圧範囲で安全に運用できるように設計されているため、遵守することが重要です。高圧用や特別高圧用のブッシングが販売されており、特別高圧用は66kV用や154kV用、275lV用などの種類があります。
2. 絶縁体材質
ブッシングの絶縁材料は、充電部分を絶縁するために重要です。一般的な絶縁材料にはセラミックやポリマー(プラスチック)などがあります。磁気の碍子は堅牢で汚れの付着も少ない点が特徴ですが、ポリマーの碍子は大量生産や加工が容易です。
3. 許容電流
ブッシングの許容電流は、電流の負荷に対する性能を示します。変圧器の設計電流に合致するブッシングを選択し、負荷に対応できる許容電流容量を確保することが必要です。
4. 寸法
ブッシングの寸法は、変圧器や周辺機器の設計に合致する必要があります。高電圧側と低電圧側のブッシングの寸法を選定し、設置スペースに収まるように計画することが重要です。
5. 耐汚染性
屋外で使用される場合、ブッシングは汚染物に対する耐性が重要です。特に塩害地域などでは、ブッシングの表面処理などによって汚染物の付着を最小限に抑えることが必要です。塩害対策用の変圧器ブッシングなども販売されています。