プラズマジェネレーターとは
プラズマジェネレーターとは、プラズマを生成させるための装置です。
プラズマとは物質の状態を表すものであり、気体が加熱された場合に生じる状態です。自然界の太陽やオーロラ、人工物では蛍光灯の光はプラズマであり、空気清浄機など身近な家電にもプラズマが利用されています。プラズマを利用した装置は、プラズマジェネレーターを内蔵している場合が多いです。
プラズマジェネレーターの使用用途
プラズマジェネレーターは、プラズマを活用した製品の製造工程で多く使われます。プラズマを利用した製造工程は大きく、表面改質、洗浄、スパッタリング、エッチングの4つに分類されます。それぞれの工程は以下のとおりです。
- 表面改質
他の液体との親和性を示す濡れ性を向上させます。 - 洗浄
物質の表面に付着した有機汚染物をプラズマを使って水や二酸化炭素に分解し、次工程の処理をしやすくします。 - スパッタリング
対象となる金属に陽イオンを衝突させることで、金属の粒子を飛び垂らしてコーティングや薄膜形成を行います。 - エッチング
ある物質に溝やパターンを彫ります。
プラズマジェネレーターを使った表面改質、洗浄、スパッタリング、エッチングは、太陽電池、半導体の製造、さまざまな製品の硬質コーティングなどに活用されています。また、プラズマ加工という主に金属の切断にもプラズマが利用されていますが、プラズマ切断機としてプラズマジェネレーターは組み込まれているものが主流です。
プラズマジェネレーターの原理
プラズマジェネレーターの原理を理解するためには、まずプラズマを理解する必要があります。プラズマとは、気体を加熱して得られる物質の状態のことです。
固体、液体、気体に加えて物質の第4状態とも呼ばれます。水であれば気体となった水蒸気の水分子から電子が飛び出して、水の正イオンと電子が多数飛び回っている状態を指します。
ただし、全ての水の分子が分解しているわけではありません。水のプラズマ状態では水の分子、OH分子、水素原子、酸素原子、水素の正イオン、酸素の正イオン、水の正イオン、自由電子が混在しています。プラズマジェネレーターは、主にアルゴンやヘリウムなどのガスを電気を用いてプラズマ状態を作り出す装置です。
プラズマジェネレーターの種類
プラズマジェネレーターの種類は、プラズマの発生方法によって分類されます。
1. 直流放電方式
直流放電は密閉容器内の圧力を下げ、いわゆる真空状態でプラズマを生み出す方法です。密閉容器内の両端に2つの電極を設置し片方にプラス、もう一方にマイナスの電圧を加えます。
容器内に存在する電子は、プラス電極に向かって動き出し加速していきます。十分に加速された電子が空気の分子と衝突すると分子からイオンと電子が生成されてできるのが、プラズマ状態です。直流放電によって生成したプラズマは真空プラズマと呼ばれ、直流プラズマジェネレーターなどと呼ばれる装置があります。
2. 誘電体バリア放電方式
誘電体バリア放電方式は直流放電とは異なり、大気圧中でプラズマを生み出す方法です。大気圧で生成するプラズマは通常では温度が高く、アーク放電などによって生み出されます。プラズマを工業用に利用する際には温度の低いプラズマが必要な場合が多く、分子の温度を下げる方法が用いられます。その一つが誘電体バリア放電方式です。
2つまたは1つの電極に誘電体を設け、数kHz以上の高周波の正弦波電圧を加えます。ヘリウムやアルゴンなどのガスを用いて大気圧中でグロー放電という現象を発生させる方法です。直接処理方式と、より高い数十kHz以上の正弦波電圧を加える間接処理方式があります。
3. 金属電極パルス電源方式
プラズマの温度を上昇させないために、電源のON、OFFを繰り返すパルス電源を用いる方法です。電源のON時間は数μ秒程度のごく短いパルス波形電源を用います。