臭気測定

臭気測定とは

臭気測定は、1971年に制定された悪臭防止法および1995年に導入された臭気指数規制に伴い、臭気の検出を行う方法です。しかし、臭気指数規制は、基準の整備が進んでいなかったため、1998年に臭気指数規制ガイドラインが環境省により作成され、基準の整備に必要な調査が行われました。その結果、2000年に排出水の臭気指数規制基準の設定方法が定められ、悪臭防止法の一部改正により臭気測定に従事する者について、法律に位置付けられました。

悪臭は、騒音や振動と並んで感覚公害に位置付けられており、その臭いによって感覚的および心理的な負担を強いられます。感覚公害は、地域住民からの声によって明らかとなり、汚染の蓄積などの不安はないものの、被害が広範囲に及んでいることも少なくありません。

臭気測定の使用用途

臭気測定は、臭気指数規制ガイドラインによると、測定方法に嗅覚測定法と機器測定法の2種類があります。嗅覚測定法では、人間の嗅覚によってにおいを把握する方法です。機器測定法は、アンモニア硫化水素などの悪臭の原因を機器で測定する方法です。

これらの測定方法には、それぞれに長所と短所があります。

嗅覚測定法では、長所として数十万もの物質に対応でき、複合臭の評価や人が感じるにおいの下限値が把握できることなどが挙げられます。一方、短所としては、標準臭がなく、精度管理に技術が必要な点や測定者の知識、経験および連続測定ができない点などが挙げられます。

機器分析法では、長所として精度の管理が比較的容易であり、ガスクロマトグラフ質量分析計を活用すれば、主要成分の定性分析が可能な点などが挙げられます。一方、短所としては、単一の物質以外では、感覚量との相関関係が得られない点や物質によって人の閾値と比較した際に、下限値の設定が困難な点などが挙げられます。

2019年の悪臭による苦情件数とその区分は、野外焼却が全体の29%を占めており、最多の3,593件となっており、サービス業・そのほかでは、15.3%で1,842件、個人住宅・アパート・寮では、12.3%で1,474件となっています。そして、畜産農業では、8.0%、そのほかの製造工場では、7.3%、食品製造工場で、5.2%です。ついで、下水・用水や建設作業現場などが続きます。

臭気測定の原理

臭気指数規制ガイドラインには、臭気指数規制の導入方法と臭気指数規制導入後の対策について記載されています。このトピックでは、導入方法の流れについて解説します。

臭気指数規制を導入する事例としては、物質の濃度規制を行なっており、測定した値が規制の基準値内であるにもかかわらず、苦情が解決しない場合や未規制の地域において苦情が発生し、苦情が解決しない場合、または将来的に苦情の発生が予想される場合などが挙げられます。

実際の導入フローでは、苦情受付から開始され、その後に調査が行われます。そして、規制地域なのか否かについて判断を行い、詳細なフローに分かれていきます。一方、将来的に苦情の発生が予想される地域においては、知事への要望を行う前段階である臭気指数規制導入の検討段階にただちに移行されます。

これらのプロセスに沿って、臭気指数規制導入を検討しており、物質濃度規制から臭気指数規制へ規制方式を変更する場合や新しく臭気指数規制を導入する場合には、調査・手続きが必要になります。これらのフローについては、以下の通りです。

臭気指数規制導入の検討後、市町村に対する導入意向調査(事前調査)が行われます。そして、導入を予定する市町村に対してヒアリングを行い、実態調査として現状把握調査と臭気測定調査が行われます。また、規制地位の指定および規制基準の設定に市町村の意見が加えられ、最後に公示が行われます。

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