超硬合金

超硬合金とは

超硬合金

超硬合金とは、周期表4〜6族の金属に鉄系金属を加えて作製した複合合金の総称です。

特に、タングステンカーバイドにコバルトを結合させたWC-Co系合金が一般的です。非常に硬く、高温でも常温時の硬度を維持できます。また、強度もあり、曲げなどの外力に強いです。

超硬合金の使用用途

超硬合金は、耐摩耗性が求められる分野で使用されています。具体的には、ガラス、プラスチック、金属加工用の切削工具や研磨工具に使用されています。また、岩石やコンクリートに穴をあけるドリル、工業製品用ノズル、電極用パイプ、ドットプリンタ用ピン、パンチピンなどの用途にも好適です。

超硬合金はダイヤモンドの次に硬い性質を持っており、高温でも硬さが維持されます。また、強度が強く、荷重がかかっても曲がりにくいのが特徴です。これらの特徴を活かせる分野で使用されています。

超硬合金の原理

超硬合金は前述した通り、周期表4〜6族に属する金属の金属酸化物を鉄系金属で結合 (焼結) して作られた複合合金です。

周期表4〜6族に属する金属としては、以下の9種類が挙げられます。

鉄系金属として代表的なものは以下の通りです。

中でも、炭化タングステンに結合剤としてコバルトを加えて作製したWC-Co系合金が代表的です。

超硬合金の製造方法

超硬合金は、粉末冶金法という特殊な方法により製造されます。超硬合金の主な材料である炭化タングステンの融点が2,900℃と高く、鉄のように熔解して製造することは困難なためです。

粉末冶金法とは、金属粉末をプレスしたあと、焼き固めるという製造方法です。超硬合金は、炭化タングステンの金属粉末と結合剤であるコバルトなどの金属粉末を混合し、これを押し固めたうえで、1,300℃~1,500℃の高温で焼結して製造されます。

このとき、金属粉の配合を用途に合わせて変化させることで、様々な複合合金が製造できます。現在では、「WC-Co系」の他に「WC-TiC-Co系」、「WC-TaC-Co系」、「WC-TiC-TaC-Co系」など、開発された種類は多いです。

超硬合金の加工方法

超硬合金は非常に硬いので、通常の方法では加工することができません。そのため、超硬合金よりも硬いダイヤモンドを利用した方法、パルス電源の放電を使った方法のどちらかで加工します。

1. ダイヤモンドを利用した加工

ダイヤモンドは非常に高価なので、ダイヤモンド砥粒をホイールに着けて切削研磨することになります。切削をおこなうダイヤモンド部分が少なく、少しずつ切削することとなり、加工に時間がかかるのがデメリットです。このため、最近では、切削工具自体をダイヤモンドの被膜でコーティングした工具も開発されています。

2. 放電加工

放電加工には、ワイヤー加工や形堀り加工などの加工法があります。ワイヤー加工は、材料の上下にワイヤーを張り、ワイヤーから放電しながら切断する方法です。形堀り加工は液体の中に材料を入れて、電極を放電させながら近づけ、金属を溶かしていく方法を指します。

超硬合金のその他情報

超硬合金に関する規格

超硬合金に関する規格の一例としては、日本産業規格の「JIS B 4053 (2013) : 切削用超硬質工具材料の使用分類及び呼び記号の付け方」が挙げられます。超硬合金はHW-P20のように、切削工具の材質による分類 (HW部分) と被削材料による分類 (P20部分) を掛け合わせた表記です。

これにより、どのような材質で、どのような被切削物に対応できるかがわかります。なお、炭化タングステンを主成分とする超硬合金は、粒子径により、HW、HFに分類されています。HWは、粒子径の平均が1μm以上のもので、HFは、粒子径の平均が1μm未満のものです。

当該規格には、HT、HCの2種類も超硬合金として記載されています。HTはサーメットを示し、主にチタン、タンタル、ニオブの炭化物や窒化物からできており、炭化タングステンの含有量が少ないものを示します。HCは、被覆超硬合金を示す記号で、超硬合金の表面に炭化物、窒化物、酸化物、ダイヤモンドなどを1層以上被覆させたものです。

参考文献
https://sei.co.jp/technology/tr/bn188/pdf/sei10871.pdf
https://www.nittan.co.jp/products/hard_metal_002_003.html
https://www.allied-material.co.jp/products/hard-metal/carbide-blade.html
https://kikakurui.com/b4/B4053-2013-01.html
https://www.micro-and-precision-products.com/knowledge/choukou/ https://xtech.nikkei.com/dm/article/COLUMN/20140109/326540/

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