電解液

電解液とは

電解液

電解液とは、電解質を溶解させた液体のことです。

電解液中の電解質は陽イオンや陰イオンとなって溶解しており、これらが電荷を運ぶことができるため、電解液はイオン伝導性を有しています。電解液は主に電池などの蓄電デイバイや、めっきなどの分野で使用されています。

また、電解液はプロトン性の水系溶媒が使用されることが多いですが、リチウムイオン電池用電解液では非プロトン性溶媒が一般的です。

電解液の使用用途

電池用の用途としては、1次電池や充放電が可能な2次電池用問わず、幅広い電池に用いられています。具体的には、鉛蓄電池、アルカリマンガン電池、、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウム一次電池、リチウムイオン二次電池アルミ電解コンデンサ電気二重層キャパシタリチウムイオンキャパシタなどに活用されています。

電解液は電池を構成する材料の1つであり、電池は電極での化学反応によって起電力を得ることができます。また、電気分解では電極で酸化還元反応を生じさせるために必要不可欠な材料です。めっきにおいては、めっきする金属の供給源となります。

電解液の原理

電解液の原理

図1. 電解液の原理

電解液は、電池や電気分解などに用いる電解質が溶解した溶液です。電解質は溶液中で陽イオンと陰イオンに電離しており、これらのイオンが電荷のキャリアとして働きます。電解液の組成は用途によってさまざまで、より優れた性質を持つ電解液の開発が日々行われています。

一般的に電解液とは、電池用のことです。電池用の電解液にはいくつか種類があり、電池の種類によってその組成は大きく異なります。

電解液の種類

電解液は、電池などの正極と負極の間で電荷を運ぶ役割を持つ重要な材料です。以下、各用途毎の電解液について説明します。

1. 鉛蓄電池用電解液

鉛蓄電池は30~35%の希硫酸を電解液として使用しています。鉛蓄電池は、​二酸化鉛を正極に、​海綿状の鉛を負極に使用し、​​​充電時に正極に電流を流すことで二酸化鉛に変換され、​負極に電流を流すことで鉛に変換されます。

​放電時には、​正極から二酸化鉛が、​負極から鉛が希硫酸に溶解され、​電気を生み出します。鉛蓄電池は自動車やUPS (無停電電源装置) などで使用され、安価で製造が容易なため広く普及しています。

2. アルカリ電池用電解液

アルカリ電池用電解液は、​水酸化カリウムを主成分とする強アルカリ性の水溶液です。​アルカリ電池は、​電解液が水溶液であるため、​使用時でなくても自己放電が起こります。

​液漏れした場合や肌についたり目に入った場合は、​直ぐに大量のきれいな水で洗い流して、​医師の診断を受けるようにしてください。アルカリ電池は一次電池として広く使用され、長期間の保管にも適しています。

3. ニッケル水素電池用電解液

ニッケル水素電池用電解液には、​濃水酸化カリウム水溶液が用いられます。​ニッケル水素電池は、​陽極にニッケル酸化化合物、​陰極に水素吸蔵合金が用いられています。ニッケル水素電池は充放電サイクル性能が高く、ハイブリッドカーや家電などに使用されます。

4. リチウムイオン電池用電解液

リチウムイオン電池では、LiBF4 (テトラフルオロホウ酸リチウム) 、LiPF6 (ヘキサフルオロリン酸リチウム) 、LiFSI (リチウムビスフルオロスルホニルイミド) などのリチウム塩が溶解した有機系電解液が使用されています。電池用の電解液の場合、充放電時に分解しない、熱を加えても変性しない、熱により発火しないなどの性質が求められます。

リチウムイオン電池は軽量・高出力・長寿命であり、スマートフォンや電気自動車、家庭用蓄電池などに使用されます。

5. アルミ電解コンデンサ用電解液

アルミ電解コンデンサ用電解液は、3級アミンやアミジンとカルボン酸との塩を、ラクトンやグリコールなどの溶媒に溶解させたものが用いられています。アルミ電解コンデンサは、価格も安価であるため、自動車分野、家電分野、産業機器分野など広い分野で、電子基板をもつさまざまな製品に使用されています。

6. 電気二重層キャパシタ用電解液

電気二重層キャパシタ用電解液としては、4級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩などの電解質を有機溶媒に溶解させたものが用いられています。正極と負極の活物質に活性炭を使用したコンデンサであり、多くのエネルギーを必要とする用途では二次電池が適しています。急速充放電が必要とされ、耐久性が要求される箇所では、電気二重層キャパシタが選択されています

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/65/12/65_616/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/54/3/54_KJ00007744618/_pdf

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