エトスクシミド

エトスクシミドとは

エトスクシミドの基本情報

図1. エトスクシミドの基本情報

エトスクシミドとは、化学式がC7H11NO2で示される抗てんかん薬の1つです。

エトスクシミドは、抗痙攣作用を有します。マウスを使った前臨床試験で、エトスクシミドを投与すると、マウスの痙攣を抑制できると報告されました。

日本ではザロンチンシロップやエピレオプチマル散50%として販売されています。単独以外にも、バルプロ酸ナトリウム (英: Sodium valproate) のような抗てんかん薬と併用可能です。

エトスクシミドの使用用途

エトスクシミドは、治療薬として使用されています。エピレオプチマル散50%がエーザイから販売されています。

適応症は定型欠神発作 (小発作) 、小型 (運動) 発作などです。使用する際には、成人患者に1日に450〜1,000mg (エピレオプチマル散50%製剤として1日0.9g〜2g) のエトスクシミドを、2〜3回に分けて経口により投与します。

エトスクシミドの主な副作用として、SLE様症状、汎血球減少、再生不良性貧血、Stevens-Johnson症候群などが挙げられます。

エトスクシミドの性質

エトスクシミドは、メタノールエタノール、N,N-ジメチルホルムアミドに極めてよく溶け、水にも溶解します。融点は47.0〜50.0°C、沸点は265.3°Cで、無臭の白色のパラフィン状の粉末です。

T型カルシウムチャネルのブロックや他のクラスのイオンチャネルへの効果を併せて、エトスクシミドはニューロンの興奮性へ影響を与えると考えられています。エトスクシミドはT型カルシウムチャネルの遮断薬であると発見されました。

その後、細胞系での組換えT型チャネルの実験で、エトスクシミドがT型カルシウムチャネルアイソフォームのすべてをブロックすると証明されています。

エトスクシミドの構造

エトスクシミドの構造

図2. エトスクシミドの構造

エトスクシミドの分子量は141.17で、密度は1.1522g/cm3です。エトスクシミドは環状のイミドであるスクシンイミドに、メチル基とエチル基が結合した構造を持っています。

エトスクシミドは構造異性体を有します。(S)-エトスクシミドと(R)-エトスクシミドです。 臨床には、(S)-エトスクシミドと(R)-エトスクシミドの1:1混合物が使用されています。

エトスクシミドのその他情報

1. エトスクシミドの相互作用

エトスクシミドの血中濃度の上昇や下降は、バルプロ酸ナトリウムの影響です。エトスクシミドとバルプロ酸を併用すると、それぞれ単独で使用したときより、保護指数 (英: Protective index) が上がり、フェニトイン (英: Phenytoin) の血清中濃度が上がる場合もあります。エトスクシミドの血中濃度は、カルバマゼピンやルフィナミドによっても下がる場合があります。

2. エトスクシミドの副作用

一般的にエトスクシミドの副作用は少ないです。精神神経系への一般的な副作用は、不眠、傾眠、頭痛、せん妄、運動失調などです。また、消化器系には消化不良、食欲不振、悪心、嘔吐、舌の腫脹、急激な腹痛、体重の減少、胃痛、下痢、便秘、歯肉増殖症などが報告されています。

皮膚への副作用の具体例は、スティーブンス・ジョンソン症候群、全身性エリテマトーデス、多毛症、蕁麻疹、掻痒性紅斑性発疹などです。さらに、泌尿器系には顕微鏡的血尿や性器不正出血のリスクがあり、血液に対して汎血球減少症、白血球減少症、無顆粒球症、好酸球増加症などが起きる可能性もあります。

3. エトスクシミドの関連化合物

エトスクシミドの関連化合物

図3. エトスクシミドの関連化合物

エトスクシミドなどのスクシンイミド化合物は、医薬品の部分構造に使用可能です。具体例として、フェンスクシミド (英: Phensuximide) やメスクシミド (英: Mesuximide) が挙げられます。メスクシミドはメトスクシミド (英: MethsuximideまたはMethosuximide) とも呼ばれます。

スクシンイミド化合物は、タンパク質、ペプチド、プラスチックなどで共有結合を形成するために利用可能です。

参考文献
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053073

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