酸化ベリリウム

酸化ベリリウムとは

酸化ベリリウム (英: Beryllium oxide) とは、組成式BeOで示されるベリリウムの酸化物です。

CAS登録番号は1304-56-9であり、別名ベリリア (英: Beryllia) とも呼ばれます。

酸化ベリリウムの使用用途

酸化ベリリウムの主な用途は、ロケットの先端部や燃料室の部品、原子炉の減速材や中性子反射材などです。様々な産業分野で幅広く使用されています。酸化ベリリウムは、化学的に非常に安定であり、沸点融点が共に高いため高温環境下でも非常に安定して存在する物質です。

これらの性質ゆえに、過酷な温度環境の分野で用いられています。そのほか、セラミック素材としても用いられます。酸化ベリリウムは熱伝導性が高いです (325W/m・K) 。セラミックの中で群を抜いているだけでなく、アルミなどの金属材料よりも優れています。

主な用途は絶縁性が必要でありながら、且つ放熱が必要な製品への使用です。具体的には、医療機器、レーザー回路基板、半導体製造装置、ガスレーザー管、半導体部品の材料などが挙げられます。

酸化ベリリウムの性質

酸化ベリリウムの基本情報

図1. 酸化ベリリウムの基本情報

酸化ベリリウムは、分子量25.01、融点2,570℃、沸点3,900℃であり、常温での外観は白色粉末または無色結晶です。結晶構造は六方晶系のウルツ鉱型構造であり、ベリリウムおよび酸素原子は4配位となっています。

密度は3.02g/mL、水にはほぼ不溶です (水への溶解度: 0.2 g/1dm3) 。濃硫酸および濃塩酸との加熱によって溶解します (溶解過程の生成物: 硫酸ベリリウム或いは塩化ベリリウム)。フッ化水素酸にはフルオロ錯体を生成して溶解します。通常の保管環境においては非常に安定ですが、直射日光と高温を避けて保管することが必要です。

酸化ベリリウムの種類

酸化ベリリウムは、主に研究開発用試薬製品として販売されている他、産業用セラミック素材として販売されています。

1. 研究開発用試薬製品

研究開発用試薬製品としては、主に5g、10g、25g、100g、500gなどの容量の種類が有ります。実験室で取り扱いやすい容量での提供が中心です。安定な化合物であるため、通常室温で保管可能な試薬製品として取り扱われています。

2. 産業用セラミック素材

酸化ベリリウムは、優れた絶縁性と熱伝導性を併せ持つ産業用セラミック素材としても販売されています。様々なグレードが有り、強度と熱伝導性が異なっています。購入に当たってはメーカーへの個別の問い合わせが必要です。

酸化ベリリウムのその他情報

1. 酸化ベリリウムの合成

酸化ベリリウムの合成

図2. 酸化ベリリウムの合成

酸化ベリリウムの製造方法として、ベリリウムの炭酸塩または、ベリリウムの硝酸塩の加熱分解が挙げられます。水酸化ベリリウムの熱分解によっても酸化ベリリウムの合成は可能です。

工業的には、緑柱石を材料に酸化ベリリウムを製造する方法が一般的です。具体的には、まず、緑柱石を1,500℃で融解させた後に冷却し、ガラス状の生成物を硫酸と反応させて、中間体の硫酸ベリリウムを得ます。次にこの硫酸ベリリウムをアルカリで処理した後に加熱によって分解すると、酸化ベリリウムが生成します。

2. 酸化ベリリウムの化学反応

酸化ベリリウムの化学反応

図3. 酸化ベリリウムの化学反応

酸化ベリリウムは、非常に安定な化合物であり、強熱した結晶性のものは水に不溶であり、酸およびアルカリにも溶けません。ただし、濃硫酸および濃塩酸との加熱により、硫酸ベリリウムおよび塩化ベリリウムが生成します。また、フッ化水素酸を加えるとフルオロ錯体を形成して溶解します。

参考文献
https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/cmpInfDsp?cid=C004-777-07A&slScNm=RO_02_003&bcPtn=3&cngLngMd=1

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